短編

□君に会いたい
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prologue




俺には好きなやつがいる。
顔がよくて背も高くて格好よくて、でも頼りなくて泣き虫で。

やつは今の関係以上に俺のこと何とも思ってないんだろうってのは物凄く自覚してる。
この恋は叶わない。

だって俺は男に恋してる。


俺のバイト先は駅前のコンビニで、やつは向かいの服屋でバイトしてる。
自分のバイトが終わると、即効でコンビニの制服を脱ぎ捨ててあいつの元へ向かう。

近付く俺を見付けると、優しい笑顔で迎えてくれる。
にやけてしまう俺を、あいつはいつもきょとんとした顔で見る。
しょうがないだろ。お前のその顔が可愛いんだからさ。

あいつが俺のことを「秋良さん」て呼ぶのが心地よくて、呼ばれるたびにそいつに抱きついて「うん」って返事をする。

そうして、あいつは馴れた手付きで俺の頭を撫でるのだ。

そうされるたびに、俺はまたこいつを好きになる。

河本秋良、23歳。

恋してます。






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