短編

□図書室の罠
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昭島くんの憂鬱



図書館なんて大嫌いだ。

俺が最近仲良くなったクラスメイト、真崎悠は本が好きだ。
相手と仲良くなるならば、好きなものを知るのが一番だ。
なので俺は、本を呼んでみたいと真崎に進言した。
しかし、俺は最低な人間に図書室で会うこととなる。


「昭島君」
「げ」

「げってなに。君がなかなか図書室に来てくれないから、こうやって一年生の廊下でまっていたんじゃないか」

……説明的な台詞をありがとうございます…
その押し付けがましい言い分に俺はげんなりと肩をおとした。

一年生の廊下で待っていた人物――杉浦圭吾。
図書委員長で、中世的で見目麗しい顔をしており、かなりファンが多いらしくファンクラブなるものがあるらしい。

女にも男にも大人気。図書室の姫とか、王子とか呼ばれてる。

「おれ…もう本とか読みませんので」
「じゃあもう真崎くんが選んでくれた本は読まないの?」

(う)

それは…ちょっと…だめだよなぁ…

せっかく俺のために真崎が選んでくれた本。
すげぇ嬉しくって借りて読もうって意気込んで図書室の受付に行ったのに…俺が一生懸命悩んでいれば、

「昭島君、ほんと可愛い」

この人は、変なことをさらりと言い、俺を手をとった。絶対に頭おかしいよ。

あの図書室に初めて行った日、「君みたいな子がこんな難しい本読めるの?」なんて言いやがったくせに。

あの日から、俺にべたべたとくっついてくる変態。

「そんなに警戒しないでくれる?僕だって傷つくんだけど」

そんな、涼しい顔で言われたって信じられるもんか!

こんな綺麗な人が、俺に変なことをしてくるのがものすごく意味がわからなくて、頭がこんがらがる。

「そんな、可愛い顔しないでよ」

先輩は、俺の手を取っていたのをそのまま自分の唇に寄せた。

綺麗な人、しかし変態。

「可愛い顔なんてしてねぇええ!!!!!!!!」

……疲れる。

すっっげー疲れる!!

end.

(2008.01.06)
(加筆修正2010.04.10)


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