想像のままに書いちゃおう!!

□機械ココロ
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「ぎ、戲、銀さン…。」

あぁ…、やられすぎたかも…。

普通に呼ぶことも出来てないよ…。

映像も傷付いたDVDみたく乱れてるし。

エラー音が煩い。

ガクッ

何の故障もしていない右足の膝が何故か勝手に曲がった。

「?」

ガシャンッ!

「!!」

大きな音をたてて俺の体が後ろに倒れる。

首から上を上げるて下半身を見ると、下半身の関節という関節から白い煙が出ていた。

…完全にショートしてる。

なんでこんな時にショートしちゃうんだよ。

これじゃ、銀さんの傍に行けないじゃん。

銀さんの傍に行きたい。

行きたいよ…。

機械音がする腕を銀さんの方に伸ばす。

でも銀さんには届かない。

「長谷川さん!」

敵を全て倒した新八君が俺のもとに駆け寄ってきた。

神楽ちゃんは銀さんのもとへと駆け寄っていた。

「お御オレ、俺は、だぃ丈夫。ソれ寄り、疑ん、銀さんガ…」

俺は軋む体を無理矢理起こして少しでも銀さんに近付こうと前に体を出した。

だけど、動かない下半身のせいで、ただ後ろから前に倒れただけだった。

俺の隣で新八君が、動かないで下さい!、と俺を止めるが、俺はそれを聞かずになんとか動く片腕でもがいた。

一歩でも1ミリでも銀さんの傍に居たい。

俺は創られた存在で、オリジナルの長谷川泰造の記憶で銀さんの事が好きなのかもしれない。

銀さんもオリジナルの長谷川泰造が好きで俺なんか足元にも及ばないぐらい大切なのかもしれない。

でも、それでも、そんな存在の俺だけど、今、誰よりも銀さんの傍に居たいと思っている気持ちは俺だけのモノだと思いたいから。

造りモノじゃないって思いたいから、

だから軋む腕を動かす。

残像が残るガラスの瞳で銀さんを見つめる。

ブチ、ブチ!!

色んな線が切れる音が聞こえる。

上半身と下半身が離れていく。

「長谷川さん!止めて下さい!!そんな事したら…」

「ヤだ!ぉレわ、銀サん乃ソバにいッたぃんダ。ドンな時モ、何処にイッテモ、傍2イタいんだ!」

俺が言い終わる間に、俺の体は完全に真っ二つに別れていた。

「長谷川さん…」

ズルズルと引きづりながらも銀さんの傍に行こうとする俺を新八君はもう止めはしなかった。

俺の名前を呼んだ新八君は泣きそうな顔をしていた。
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