過去捏造部屋
□EpisordV
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息を潜ませ数センチ開けられている扉を両側から挟むようにライフルを片手に、方や平然とした涼しい顔で、方や軽く息を切らせ顔の強張った軍人がいた。
軍曹が目配せすれば、ガルルもこくんと頷いた。2人の目線の先には、敵将がいる。
本部への2人の進攻を止められない焦りと殺されるかもしれないという恐怖で、室内を右往左往しながら部下に激を飛ばしていた。
流石は、敵本部の中枢だけはある。巨大な機械がいくつもそそり立っているのが確認できた。
敵本部に進入した2人は、まるで敵に自分たちの存在を知らしめるかのように派手な銃撃戦を繰り広げた。
お互いに背中を守りながら、流れるように相手を確実に仕留めていく。
軍曹からの合図がある前に、ガルルは手についた返り血を拭う。
ガルルの息がだいぶ落ち着いてきたのを見計らって、軍曹は合図を出した。
2人は同時に駆け出した。
戦法は変わらない。
相手を無駄なく仕留めるだけだ。
「うわぁっ!!」
鮮血が色鮮やかに宙を舞った。
「なっ何をしている・・・!!」
倒れる部下に叫んだのも束の間、敵将の背後には軍曹の影があった。
「さぁ、大人しく逝ってもらおうか。」
「くそっ」
敵は振り返り、持っていたナイフを振るう。
急いで離れようとするが間に合わず、軍曹の頬に赤いぴっと細い筋ができた。
「ぐあぁっ!!」
次の瞬間に呻き声をあげたのは敵の方だった。
倒れた敵将の肩と脇腹から鮮血があふれ出てくる。
部下たちの始末に回っていたガルルが射ぬいたのだ。
「軍曹大丈夫ですか?!」
ガルルが駆け寄ると、軍曹の手にはもうライフルはない。
代わりに手に収まっているのはケロボールだ。
この本拠地を壊滅させるまでが2人のミッションだ。
軍曹がケロボールのボタンをひとつ押せば、小さな爆発音と瓦礫が降ってくる。
見上げれば脱出用に天井に空けた穴からは、灰色と赤が混ざったような不気味な空がよどんでいた。
「さ、終わりにしようか。」
飛行ユニットを展開させ、ふわりと舞い上がる。
ポチ
ガッシャャァン・・・!!
起爆ボタンと何かが割れた音が響いたのはほぼ同時だった。
見れば、まだ微かに息があったのだろう部下の1人がガラスで守られていた機械のボタンを押して不敵な笑みを浮かべて頭上にいる軍曹たちを見ていた。
「我が軍が無駄死にをすると思うなあァァッ!!」
「しまった!!」