バレンタイン

□徹夜して作ったチョコレート
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2月13日
明日はバレンタインデー



えっと……あとはこれを飾って……

「できた……!!」

あ、今何時だろう……?


爽子は時間が気になり、時計を見た。


   23:15


「!?い、急がなきゃ…!!あとは……」

あ、風早くんのぶんだけ……

風早くん、明日喜んでくれるかな?


――――――
――――
――


2月14日
バレンタインデー当日

休み時間


―― ふわぁ


「あら爽子、寝不足?」

「あ……うん。ちょっと、チョコレートを作ってるのに時間がかかって…」


爽子はそう言ったあと、カバンからトリュフが入った袋を2つ取り出した。


「あやねちゃんと、ちづちゃんにも……どうぞ…!」

「やったー!!サンキュー、爽子!」

「ありがとう、爽子!」

「……んっ?あ、おいしそーじゃん、それ!」


爽子がちづとあやねにトリュフを渡していると、横から声が聞こえてきた。


「「……ケント」」
「師匠……!」

「それ、貞子ちゃんが作ったの?」

「う、うん!…あ、よかったら師匠も……」


そう言いながら爽子はカバンの中から同じ袋を取り出した。


「え、いいの?…ありがとう〜貞子ちゃん」


―― ガタンッ


爽子がケントにトリュフの入った袋を渡していると、どこかから椅子が倒れた音がした。


「風早?」

「どーした、風早?」

「……何でもない」




……風早くん、どうしたんだろう?


――――――
――――
――


放課後


「黒沼、一緒に帰ろ?」

「う、うん!!」


黒沼の返事を聞くやいなや、俺は黒沼の手を掴んで歩き出した。


「か、風早くん?」


後ろから黒沼の焦った声が聞こえてきたけど、振り向くことなく歩き続けた。




「風早くん!」


再び黒沼に呼ばれ、足を止めた場所は屋上前の階段だった。


「……ごめん、黒沼。急にあんなことして」

「えっ、そんな!」

「びっくりした…よな?」

「……驚きはしたけど……嬉しかったよ…?」

「えっ!?」


黒沼の発言に驚いて、今まで俯いていた顔を上げた。


「私も一緒に帰りたいって思ってたから…」


黒沼はにっこり笑ってそういうと、カバンの中から小さめの箱を取り出し、俺の目の前に差し出した。


「……風早くんへのバレンタインチョコレートです…!」

「!!…ありがとう、黒沼!!」


念願の黒沼からチョコをもらえただけで、
三浦の方が先にチョコをもらったとか、また俺だけもらえないのかもしれないという
黒い感情や不安が一気に無くなった。


「あと……」

「…?」



徹夜して作ったチョコレート



「……風早くんのチョコレートが、一番時間も気持ちも籠もってます……///!!」

「……////!!」




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