Novel
□りんご飴
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「風早、あんた今、爽子に見惚れてたでしょ。今日の爽子、いつもより可愛いから」
「////!!」
「えっ!?」
図星で何も言えなくなり俯いてしまった俺と、そんなことないよ……!とあわてふためく黒沼。
「なによ、風早!可愛くないと思ったの?」
「なっ……!そんなこと!!」
俯いていた顔をあげたら、不思議そうに顔を傾けていた黒沼と目があった。
「……////っ!黒沼!」
「は、はい!」
「浴衣すっごく似合ってる。すっげー可愛い!」
「あ、あ、ありがとう///!」
「えっと、はい!」
俺は、照れ隠しに片手で口元を覆って、もう一方の手を爽子の方にさしだした。
「えっ?」
「今日人多いし、はぐれるといけないから」
……ほんとは手繋ぎたかったのと、他の男に黒沼は俺の彼女ってことを見せ付けたかっただけだけど……
だって、今日の黒沼、すっげー可愛いから、他の男に狙われるんじゃって気が気じゃねぇし!
「あ、うん!」
そう言いながら、俺の手に自分の手を重ねてくれる黒沼。
「じゃあ、いこっか!」
俺はそのまま黒沼の手を引いて、歩きだした。
「……待ち合わせそうそう、二人っきりかよ」
という矢野の呟きは聞こえなかった……―
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