Secret Novel
□近い距離
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いつもより近い特別な場所
◆ 近い距離 ◆
その日も、爽子と風早は、いつものように一緒に帰っていた。
―― シャッー
一台の自転車が、二人を追い抜いていった。
……あ、二人乗り…
爽子がずいぶん長い間、二人乗りをしている自転車を見ていたことに気付いた風早は、
何気なく爽子に尋ねてみた。
「黒沼、二人乗りしたいの?」
「えっ……!?」
「さっきから、ずっと見てたから」
「あ……少しうらやましいなって思ってただけなの」
「そうなんだ」
風早はそれ以降、ずっと何かを考えているようだった。
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