Novel
□葛藤Birthday
2ページ/5ページ
―― 5月13日 木曜日
土曜日に誕生日ということは、学校は休みなわけで……
自分から誘えばいいのだが……
断られたら…と思うと、なかなか誘うことができないでいた。
「……風早くん?」
「あ、ごめん黒沼!何?」
今は、黒沼が顔を真っ赤にさせて誘ってくれた帰り道の途中だった。
「ううん!あの……」
黒沼はそこまで言うと黙って俯いてしまった。
……?黒沼、どうしたんだろう
そんなことを考えていたら、繋いでいる手に力が入るのがわかった。
「風早くん!甘いものと苦いもの、どっちが好き……?」
「……?どっちかっていったら甘いものの方が好きだけど……」
どうして?、って尋ねると、黒沼に顔を真っ赤にさせて、今はまだ言えませんって言われてしまった。
「……どうしてもダメ?」
諦め切れなくて、もう一度黒沼に尋ねてみると、
「うっ……いくら風早くんの頼みでもこれだけは…!」
「そっかぁ……」
「でも、土曜日にはわかるので……!!」
黒沼が一生懸命、そう伝えるので、わかった!、としか言うことができなかった。
*・*・*・*・*・*
……ん?土曜日?
黒沼を送って、家路に着いたとき、ふと黒沼の言葉を思い出した。
……土曜日って、俺の誕生日じゃん!
もしかして黒沼……
……あれ?でも俺、約束してない……
「あ゛ー!」
――結局、俺の葛藤はまだまだ続いた……
*・*・*・*・*・*