Novel

□葛藤Birthday
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―― 5月13日 木曜日


土曜日に誕生日ということは、学校は休みなわけで……

自分から誘えばいいのだが……
断られたら…と思うと、なかなか誘うことができないでいた。


「……風早くん?」

「あ、ごめん黒沼!何?」


今は、黒沼が顔を真っ赤にさせて誘ってくれた帰り道の途中だった。

「ううん!あの……」

黒沼はそこまで言うと黙って俯いてしまった。

……?黒沼、どうしたんだろう

そんなことを考えていたら、繋いでいる手に力が入るのがわかった。

「風早くん!甘いものと苦いもの、どっちが好き……?」

「……?どっちかっていったら甘いものの方が好きだけど……」

どうして?、って尋ねると、黒沼に顔を真っ赤にさせて、今はまだ言えませんって言われてしまった。

「……どうしてもダメ?」

諦め切れなくて、もう一度黒沼に尋ねてみると、

「うっ……いくら風早くんの頼みでもこれだけは…!」

「そっかぁ……」

「でも、土曜日にはわかるので……!!」

黒沼が一生懸命、そう伝えるので、わかった!、としか言うことができなかった。


*・*・*・*・*・*


……ん?土曜日?

黒沼を送って、家路に着いたとき、ふと黒沼の言葉を思い出した。


……土曜日って、俺の誕生日じゃん!

もしかして黒沼……


……あれ?でも俺、約束してない……

「あ゛ー!」


――結局、俺の葛藤はまだまだ続いた……


*・*・*・*・*・*
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