Novel
□抱きしめるぞ、このやろー
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風早視点
原作の修学旅行前あたりです
【抱きしめるぞ、このやろー】
うーん、うーん……
今、目の前にいる可愛い彼女ーー黒沼は、さっきからガイドブックのお土産ページを見ながら、何やら考えこんでいるようだった。
俺たちは、数日後に差し迫った修学旅行で買うお土産を何にしようか、教室で考えているところだった。
「黒沼、お父さんたちのお土産、何にするか決まった?」
俺が声をかけると、黒沼はハッとしたように顔をあげたと思ったら、顔を真っ赤にさせ狼狽えてしまった。
え……何で……?
黒沼の予想外の反応に、俺も自分の顔が熱くなるのを感じ、狼狽えてしまった。
黒沼は、顔を真っ赤にさせたまま、何か意を決したように話始めた。
「か、風早くんは、お、お家の人に何を買うか決めた?」
「お、俺はまだ何も決めてないよ!」
「そ、そっか!」
黒沼はそう言うと、頭を抱えて、また考え出してしまった。
黒沼……?
「黒沼、どうしたの?何か悩んでるなら俺も力になるよ!」
俺がそう言うと、黒沼はまたハッとしたように顔をあげ、今度は慌てたような表情になった。
「ち、違うの!悩んでるとかじゃなくて……その……」
と言った後、黒沼は少し恥ずかしそうに、さっき見ていたガイドブックのお土産ページを見せ、ある部分を指差した。