Novel
□りんご飴
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◆ りんご飴 ◆
高校3年の夏
今年の夏は、受験生というわけで、どこにも行けず、ただ勉強に追われる毎日だった。
そんな毎日に嫌気がさしたのか、吉田の提案で、皆で夏祭りに行くことになった……―
待ち合わせ場所は、いつも二年参りをする神社の近くだった。
「あ、龍ー!」
「……あ、しょーた」
「あれ、吉田たちはまだ?」
「あーたぶん千鶴の家で、なんかやってたから、たぶんもうすぐ……」
「そっか!」
そんなことを話していたら、黒沼が小走りで来るのが見えた。
「遅れてごめんなさい!」
……可愛い
黒沼は浴衣を着て、髪の毛はサイドでまとめていて、少しメイクをしていた。
浴衣姿を見るのは2回目だけど、また見惚れてしまった。
「……風早くん?」
「……あ、全然!俺も今来たとこ!」
慌ててそう言った後に、黒沼の先を見ると、ニヤリという効果音がにあう矢野の顔が見えた。
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