12/28の日記
13:58
非日常的ゲシュタルト崩壊
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「好きな食べ物は何?」
「誕生日は?」
「血液型は?」
「何処に住んでるの?」
「嫌いなものは何?」
「どんな時間が一番落ち着く?」
毎度毎度、飽きもせず彼は尋ねてくる。
それも殆ど内容の変わらない質問ばかり。
初めて会ったときから毎日毎日。
一度、「どうしてそんなに俺の事聞くのさ」と聞いてみたら、「君の事が気になるからさ!」と笑って返された。
人の笑顔を見る事が少なくなってきた最近、その表情が忘れられなくて、俺はいつの間にかそれを求めてた。
だって、俺が素直に質問に答える度に彼は嬉しそうに笑うから。
その時は胸のあたりが暖かくなる感じがした。
家族と居た時を思い出す温もりを感じた。
彼の笑顔が恋しくて恋しくて。
その笑顔を見るために僕は毎度繰り返される変化の無い質問に答え続けた。
「あ、そうだ」
「何?」
彼が初めて質問を止めた。
僕が止めたら怒るくせに、いきなりその質問の嵐は消えたんだ。
「君の名前って、何だっけ?」
「え?」
「君と俺の関係って何だっけ?」
「………祐?」
「どうして僕、君と話してるんだっけ?」
「ちょっと…!」
「ねぇ、君誰………!?」
「どうしたのさ?」
段々会話が続かなくなって、ついには頭を押さえてしゃがみ込んでしまった彼。
俺も同じように混乱したけど、彼の笑顔が見たいが為に、質問に答えた。
「俺は基山ヒロトだよ」
「やだ、こっちくんな」
「俺と君はコイビトだよ」
「話しかけんなっ」
「君が、僕の事が気になるって言ったから会話してたんだよ」
「うるさいっ」
「僕は、君の笑顔が大好きな、基山ヒロトだよ」
「違うっ、お前なんて知らないっ!」
質問に答えても笑顔を見せてくれない彼。
俺だって頭の中ぐちゃぐちゃなのに、自分だけ逃げるなんて狡い。
どうしていきなりそう言う事言うのさ?
冗談なの?
嘘なの?
それともホントに、
わからなくなったの?
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