01/25の日記

21:56
白黒=しろくろ
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 白が好き。
 子供が太陽を描く時に力強く握るクレヨンの赤も、写真を撮る時に大きく切り取られる空の青も、どんな色も大好きだけど、一番は白なのだ。

 僕はたまらなく白が好きだ。
 真っ白なシャツを着た日には、学校の放課後に友人達を無理矢理巻き込んで泥だらけになるまで遊ぶ。
 白はすぐに消えてしまうけど、僕はそんなところも大好きなんだ。
 白はすべての色をはっきりとさせてくれる。

 河川敷の薄汚い土も、シャツを汚す茶色になるならと僕は喜んで真っ白なキャンバスに茶色の絵具を塗りつける。

「しろしろ。しろしろ。」
「黒は嫌いか?」

 おかしな質問をされたのは、僕が中学生としての最終学年になった夏のことだ。
質問してきた相手を僕はウザったいと目で返そうとしたけど、その顔を確認して、止めた。

「黒は嫌いじゃないよ。僕はどの色も好きだもん」

「そうか」

 尋ねてきた癖に、彼は僕の返答に適当に返したように思えた。

「黒は白と反対色だから、嫌いなのかと思っただけだ」
「全然好きだよ。むしろ僕は無色透明と呼ばれる類のものが虫唾が走るほど嫌いだなぁ」

 あれには僕の大好きな色も、白も、何も無い。
水は好きだ。
透明じゃないと信じ込めば好きになれそうだから。

「そうか」

彼はまた同じ言葉で一度切った。

「ところでもう一つ聞くが…」
「何かな?」
「物理的な色と、論理的かつ精神的な色、どちらが好きなんだ?」
「う〜ん……」

 たっぷり何十秒もうんうん唸った後、僕は最初からまったく迷ってなどいなかった言葉を、口角を吊り上げて言ってやった。

「物事に白黒つけるなら、現実の色彩よりもずっと好きかな」

 僕の返答の後、彼、バダップはにこりともせずに静かに言った。

「合格だ」


 その日からじゃないかな。僕がチーム・オーガのメンバーとして訓練を受けるようになったのは。

 本当にこの時代に必要のないものの色彩をはっきりさせたかった。
 白い色は好きだ。だけど勿論黒も好き。
僕が導き出す答えは、白と黒のどちらなのだろうか。


 実は誰も知らない、きっとバダップも知らない。
そんな大好きなサッカーボールを見つめ、その白と黒の境目をなぞりながら、僕は自然とニヤついた。

さてさて、僕がオーガにとって裏切り者か。
僕にもわからないこの問いの答えにも、色彩はあるのだろうか?
 

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