《Guitar》Mako

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07/21(Thu) 22:14
須田ヴィシャス伝説5
酒loveマコ

須田ヴィシャスがバイク事故で亡くなったとの虚報を聞いたのにも関わらず(心の中では静かにGLAYの名曲が流れていたが・・・)冷静に考え一つの問題が発覚した。

「やばっ!喪服が無い!」

実家のオカンに電話した。

「ひろっちゃんが亡くなった。葬式に着ていく背広がないから金貸してくれ!」

いつもならビタ一文貸してくれないオカンが静かな声で「お金取りに来なさい」 と言った。

俺は借りたお金で一目散に近所の洋服の青山に行った。

寸法合わせをしてアジャスター付の黒のダブルのスーツの上下を買った。白と黒のネクタイ二本はサービスでついていた。白い形状記憶何とかのシワになりにくいYシャツも買った。
アパートに帰り、須田ヴィシャスの一番の悪友に電話した。「ひろっちゃんのお葬式は何時からかな?」

受話器の向こうの彼は怒りの混じった声で
「ひろっちゃん死んでねぇよ!」


ガセネタだった・・・。

ひろっちゃん(須田ヴィシャス)は意識不明の重体だったが、一命を取り戻していた。

その後、須田ヴィシャスは約1ヶ月間、意識不明だったが、奇跡的に意識を取り戻した。

後遺症は頭を強く打ったので視野狭窄という、視野が双眼鏡で覗いたくらいの視野しかない症状が残ってしまったが、他は何の障害もなかった。

だが、事故後の須田ヴィシャスは憑き物がとれたような穏やかな性格になっていた。まるで仏様のように・・・。

彼はその後、何度かセッションライブやユニットバンドでベースを弾いていたが、誰も彼の事を須田ヴィシャスとは呼ばなくなっていった。

ひろっちゃんはその後、盲学校に通い、マッサージや鍼灸師の勉強をしていた。

風の噂では結婚もして静かに暮らしているという・・・。


あの日買った、黒のダブルのスーツはその時は活躍出来なかったものの、その後、葬式やら結婚式で大活躍した。もちろんあれから20年近くだった今も愛着のスーツである。ただダブルのスーツは今は流行らない。しかしアジャスター付のズボンを買ってよかったと今も思っている。

おわり

CA3E
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