《Guitar》Mako

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07/22(Fri) 00:17
ロックンロール竹輪(加奈子の話)
死期近しアル中年

○月×日・風の強い日

俺様が以前、在籍していたパンク風ロックバンド「蟲」のスタジオリハーサル(ただのアマチュアバンドの練習)が終わり、機材の片付けをしていた。

当時はエフェクターやらアンプやら機材の多かった俺は愛機のギター(加奈子mark‐U・ギブソンSG・12回ローン)をスタジオ部屋入り口付近に立てかけ他の荷物を車の荷台へ押し詰めていた。

残っている機材を取りにスタジオへ引き返すと、ベーシストのJUN(本名・佐藤タカシ)が「悪い・ギター倒しちまった!」と無表情で言った。

え〜!!

加奈子mark‐Uはスタジオのコンクリートの床に倒れていた。

「か加奈子〜!」

俺は倒れた加奈子mark‐U(ギター)を抱き起こし怪我(傷)がないか丹念に調べあげた。
ペグも無事だしボディーも大丈夫!ネックは・・・!?

ヘッドとネック(人間でいうと頭と首の付け根部分)に亀裂が入っていた・・・。
真っ二つという訳ではないが、首の皮一枚で繋がっている状態だった・・・。

俺は当然の事ながらJUN(佐藤タカシ)を罵った!

しかし「入り口付近にギターを裸で立てかけておく奴が悪い!」と逆ギレされた。

俺様は加奈子を抱き抱えスタジオ代も払わず車に乗り込み、バカーと言わんばかりにダッシュで帰宅した。

自宅に帰りバーボンをストレートでガブ飲みした。

朝までガブ飲みした。

加奈子のお通夜だった。

その次の日から俺は「形あるものはいつかは壊れる」という事を学習し、あまり物に対して愛着を持たなくなった。

加奈子mark‐Uを専用ハードケースにそっとしまい押し入れの奥へとしまい込んだ。

納棺式だった。

その時、俺には、側室にフライングV子を娶っていた。

フライングV子はギブソン製だが現行品で大量生産タイプの物なので10年以上使っていた加奈子mark‐Uに比べると、いわゆる「鳴り」が劣っていた。

ギターは長年使用していると弾く事によって材質の木材が音の響きをよく伝えるようになったり材質の木が古く乾燥していくと音が格段と良くなっていくらしい。

奥の方が引退したあと本妻に返り咲いた、不倫相手のフライングV子はさぞ嬉しかった事だろう・・・。

つづく

CA3E
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