clap SS(過去分)
□Oct/2009
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【お好み焼き】
俺な、おばあちゃんの作ったお好み焼きが大好物やねん!
東京でもうまい店はあったんやけどな、でもやっぱおばあちゃんのには敵わん!
『慎之介さぁん!そろそろ出来ますよ〜!』
今日はオフがやっと重なって、マイスイートハニーが俺んちに来てんねん。
お昼のメニューは、頼み込んで・・・・豚玉とネギ焼き。
彼女の作ってくれたお好み・・・・ちいと不恰好やけど・・・・ふんわりしっとりしとって・・・・めっちゃうまい!
「・・・・・・・・・・・・・おばあちゃん、ごめん!おばあちゃんのが一番やったけど、抜かれてもうたで!」
やっぱ、マイスイートハニーには誰も敵わんっちゅうことやな♪
最強やで♪
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【つまみ】
仕事の後はたいてい、後輩芸人なんかを連れて飲みに行くことが多かった。
そんでも彼女が出来て、たまに彼女が飯を作ってくれるもんでな・・・だいぶ飲みに行く回数は減ったな・・・。
『隆実さん?ビールと焼酎、どっち飲みます?』
「今日は・・・・・梅割りの気分やな・・・・」
『は〜い!』
暫くして、色んな皿がテーブルに並んだ。
肉じゃがに、たたききゅうり、揚げだし豆腐、焼き茄子、手羽先の塩焼き・・・・・・。
つまみにしても、晩のおかずにしてもうまそうなものばかりが並んでいた。
『あたしもちょっとだけ飲んじゃおっかな』
彼女のグラスには、彼女が漬け込んでここに置いてある梅酒が、薄い金色の炭酸割りになって入っていた。
飲みたい時には彼女がこうして作ってくれて、仕上げに出汁茶漬けまで出してくれるんや。
後輩連中は付き合いが悪なった言うてたけどな、俺はこれで満足やねん。
充分すぎる位、幸せなんや・・・・ほんまやで♪
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【おむすび】
最近、彼女のレコーディングの日には、ケータリングの食事だけでなく・・・おむすびや簡単な惣菜、デザートにリンゴなども並ぶようになった。
俺の好きなものだから・・・・・ついそっちに手を出すようになった。
そのうち、スタッフもケータリングではなく、その手作りらしい食事に手を伸ばすようになった。
「誰が・・・・・作ってきてるんだ?・・・・・」
「あれ?春、知らなかったの?これは彼女が作ってきてるんだよ」
そう言って、夏輝がブースの中を指し示した。
ブースの中にいるのは・・・・・必死に歌を自分のものにしようとしている1人の女性・・・・。
「早くはっきりしないと・・・・・俺が頂いちゃうぞ?」俺の肩を叩くと、タバコを持って廊下へ出て行った。
休憩に入って、スタッフが彼女手作りの食事に集る。
「・・・・・これ、君が作ってきてたって・・・・夏輝に聞いた・・・・・」
『あ、はい。料理が趣味なので・・・・みなさんにも食べてもらおうかと思ったんです。お口に合いませんでしたか?』
「いや・・・・・・・うまかった・・・・・・」
『よかった!!食べたいものあったら言ってくださいね!!』
「ああ・・・・・ありがとう・・・・・」
そう返事した時、俺だけに見せてくれた笑顔・・・・独り占めしたい・・・・そんな想いが不意に俺の中に湧き上がった。
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【好き嫌い】
1人暮らしが長いくせに、外食ばかりだった俺。
彼女が作ってくれる食事には、長いこと食べてこなかったような食材がふんだんに使われている。
食べた記憶もないものもたくさんあって、目移りしそうになる。
特に俺がヘビースモーカーなこともあって、野菜がとにかく多い。
「・・・・・これだけは無理・・・・・・・」
俺が皿の隅に避けたのは・・・・・・3ミリ幅程度の太さで切られたピーマン。
子供の頃から、これだけはどうしても駄目なんだ・・・・・・。
『夏輝さん、子供みたいな好き嫌いしないで下さい!』
それでも次からは、サラダのピーマンは向こう側が透けそうなくらいに薄くなった。
でも、ひょんなことから食べられるようになったんだ・・・・・。
『夏輝さん、すっかり平気になりましたよね・・・・ピーマン』
「え?食べてないよ?」
『実は食べてるんですよ?w』
ハンバーグ、カレー、パスタ・・・・・どれも微塵切りにしたピーマンが入ってたらしい。
それから、最近気に入っているラタトゥユ。
それにもしっかり入ってたらしい。
サラダに使われている黄色や赤いパプリカも、ピーマンだって今知ったよ!
「え〜〜〜〜〜〜!!そうだったの?」
『そうなんですよ?w』
そっかぁ・・・・・彼女は自分の仕事もあるのに、俺の栄養管理もしてくれてたんだなぁ・・・・・。
そういや最近、風邪引く事が減った気もするなぁ・・・・・。
そっかぁ・・・・・・。
なんにも言わないでも、俺の事を考えてくれてるんだなぁ・・・・そう思ったら、益々彼女を大切にしなくちゃいけないって思った。