An offering
□【 small happiness 】
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朝一番で、俺がすること・・・・・。
ベッドに彼女のぬくもりを探すこと。
その次は、いつものコーヒーを口にすること。
たったそれだけの事だが、俺にとっては必要なこと。
今朝は朝早くから仕事が入っていた彼女は、俺が目覚めた時にはもういなかった。
目が覚めたのが昼近かったのだから、無理もないことだが。
彼女が買って来たマグカップに、たっぷりと注いだブラックコーヒーを口にしながらソファーに座って、テーブルに置かれた新聞を手にする。
一通り目を通した後、空腹である事を感じて冷蔵庫をのぞく。
冷蔵庫には特に何もなかったが、ダイニングテーブルに置かれたものに気付いた。
彼女のメモと、ふわっとラップをかけられたおむすびの乗った皿。
彼女の気持ちが少しだけ嬉しい、幸せな時間。
RRRRRR・・・・・・・・・
テーブルの上に置いてあった携帯が鳴った。
「・・・・・・・ちか?どうした?」
『春、起きてた?ご飯、簡単にだけどおむすび作っておいたの・・・・』
「ああ・・・・食べた。ありがとう・・・・」
『よかった、食べてもらえて。春、ほっとくとコーヒーだけなんだもん』
「ああ、そうだったな・・・・」
『夕方には帰れるから、夕飯は何がいいか考えておいてね?』
「ちかの作ったものなら何でもいい・・・・」
『え〜、何でもいいの?どうしようかな・・・・』
「しいて言えば・・・・和食がいい・・・・・・」
『あ、うん!わかった!帰りに材料買っていくから』
「ああ、分かった。気をつけて」
『うん、じゃあね!!』
彼女の仕事が終わる頃を見計らって、今朝からつめているスタジオまで迎えに行き、彼女と一緒に買い物をする。
こんなことは初めてだったが・・・・こんな普通の時間も悪くはないと思った。
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