An offering

□【 Let me fawn 】
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裕次お兄ちゃんの【妹大好き】攻撃には、さすがに他のお兄ちゃん’sも呆れて見ている。

あたしは一人っ子で育ったから嬉しいんだけど、さすがに学校では冷たい視線に晒されるから逃げ出したくなるときもある。

『お兄ちゃん!ほんと、学校ではやめて!!他の女の子に睨まれるから!!』

でも、当の本人はけろっとしてる。

「なんで瑠奈ちゃんが睨まれるんだ?」と、まったく分かってない。

『お兄ちゃんのファンがいっぱいだからでしょ!』

学校以外だったらね、まだ・・・・ね、いいの。

兄弟が欲しかったんだもん、これだけあからさまに可愛がってもらえるって嬉しいから。

でも、ほんとに学校は・・・・・・。

双子と同じクラスって事だけでも睨まれてるのに。


『ふぅぅぅ・・・・・どうしたらいいのかなぁ・・・・・』


今日も睨まれて帰ってきて、御堂さんにハーブティーを入れてもらって飲みながらつぶやいた。

「どうなさいましたか?お嬢様」

『え?ああ・・・・裕次お兄ちゃんのことです・・・・・。かわいがってくれるのはとっても嬉しいんですけど・・・・・学校で散々睨まれちゃってて・・・・・』

「ああ、なるほど・・・・。裕次様の溺愛ぶりは凄まじいですからねぇ」

『御堂さん・・・どうしたら少し押さえてくれると思います?』

「ふふふ・・・・無理だと思いますよ?とにかくお嬢様がいらっしゃる前から、裕次様のテンションは物凄かったんですから・・・・」

『笑い事じゃないです〜・・・・』

「逆に・・・お嬢様がめいっぱい甘えて差し上げたらいかがで御座いますか?」

『今でも充分甘えてると思いますけど・・・・』

「おそらく・・・・それでも裕次様には足りないんだと思いますよ?満足すれば、きっと少しは落ち着いてくださると思いますよ?」

『そうでしょうか・・・・・』

「ええ、きっと。幸いこの週末は、裕次様も予定は入ってなかったかと思いますよ。お二人でお出掛けになられてみてはいかがでしょう」

そうか・・・・お休みの日にめいっぱい甘えておけば、学校では落ち着いてくれるのかも・・・・・。

『御堂さん、週末お兄ちゃんを誘ってみます!!』そう言うと、にっこりと柔らかい笑顔を見せてくれた。


夕食の後、裕次お兄ちゃんの部屋へ行ってみることにした。


コンコンコン・・・・・


裕次お兄ちゃんの部屋のドアをノックすると「どうぞ〜、あいてるよ〜」と明るい声がした。

『お邪魔します・・・・・・』

「あれ?瑠奈ちゃん!!どうしたの?何か心配事?」

『ううん、違うの。週末なんだけどね、お兄ちゃん何か予定はある?』

「ん?なぁんも入ってないよ?どうして?」
『うん、たまにはお兄ちゃんと出掛けたいなぁって思って・・・・・』

すると、ぱぁっと輝くような笑顔になって「ほんとに?嬉しいなぁ!!」と、あたしをハグした。

「瑠奈ちゃんから誘ってくれたの、初めてだよね!!お兄ちゃん、めちゃくちゃ嬉しいっ!」

ハグする腕に力が加わる。

「で、どこに行きたいの?どこでも連れて行くよ?」

『お買い物・・・・って思ったけど、この間もいっぱい買ってもらっちゃったし・・・・・。ドライブに行きたいなって思って』

「うん!わかった!じゃあ、お兄ちゃんのお勧めコース行こうか」

『うん。連れて行ってくれる?』

「かわいい妹のお願いを、お兄ちゃんが聞かないわけないだろう?」

『ありがとう!嬉しい!』

「お兄ちゃんもめちゃめちゃ嬉しい!!」

週末、約束どおりお兄ちゃんとドライブの後、食事をしてからお屋敷に戻った。

・・・・・・・・・でも【学校では少しセーブして欲しい】という希望は通らず、更にエスカレートしてしまった。

「こうなったら、開き直って裕次兄さんに甘えたほうがいいと思う」と、雅季君がため息混じりにつぶやいた。

『・・・あたしも少しそんな気がする・・・・』

今度から、ランチはあたしが誘いに行こう・・・・。

兄妹だから・・・・ちょっと大目に見てもらえるといいな・・・・・・そんな風に思った。




2009-10-5
 

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