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□花鳥風月 想先
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――こんな日がいつか来る


頭のどこかで分かってたいたつもりだった。それでも以前と変わらず過ぎて行く日々に、あの遊廓で過ごしていた時間が夢だったかの様に――――――――。



攘夷浪士との斬り合いの末刀を握る事の出来なくなった俺は、真撰組を辞め自ら命を絶とうとした結果、命は取りとめたが声を失った。その時俺の命を救ったのが、遊廓の店主だった。そして俺を助ける為に掛かった金を返済する様に言われ遊廓で働いた。男相手に躰を開きただ過ごしていた俺を、万事屋 坂田銀時が薬を手に入れ、声、刀を握る手を取り戻してくれた。

そして、何より遊廓での日々の中で自分の思想や想いを変えた、高杉 晋助との出会いが一番大きな事だと思う。


男相手に、躰を開く事で、金を得る日々が良い物だったとは思わない。
しかし、虚勢を張らずに、ただ有りのままの自分を見せれる相手。そんな相手を得る事が出来た。
例え、それが敵同士と言う間柄だとしても………。

その高杉が、遊廓から請けだすと言う形で俺に自由をくれ、真撰組に返れる様に手を回してくれた。

自分の有るがままを見せられる相手……そして、俺にとっては、誰にも変えられ無い大切な人になっていた。


このまま、敵同士と言う事に目を瞑りただ、この想いのまま一緒に時を重ねる事が出来たなら…………。


真撰組も最終的には、捨てる事が出来ず、高杉も捨てられ無い。そんな煮え切らない俺に空が戒めを与えたのかも知れない―――――







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