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□君がくれた……
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「お疲れ様です。」
高校入学と同時に一人暮らしを始める事になり、始めたカフェでのバイト。
自分の行きたい学校が、実家から通うのが難しかった為、無理を言って一人暮らしをさせて貰っている。
だから、自分の生活費位は何とかしたくて始めたバイト。
未だ賑わっている店内を横目に、スタッフの一人に声を掛ける。
「土方君、今日はごめんね…予定あったでしょっ。」
せめてコレ持って帰って―――――――――――、
そう言って渡された白い箱、その箱を片手に店内を後にする。
「寒っっ――――!!」
店を出れば吐く息が白く染まる位の寒さ、それでも街は賑わいをみせている。
キラキラ光るイルミネーション、楽しそうに笑う恋人達…………、そう今日は、12月24日クリスマスイブ。
クリスマスイブのお陰なのか、バイト先のカフェも何時もに増して忙しかった。その為残業をする事になり、さっき渡された白い箱はせめてものお詫び何だと思う。
白い息を吐きながら、手の中に有る箱をそっと覗いてみれば、可愛らしい苺のショートケーキが二つ。
余りにクリスマスらしい物が出て来て、小さく笑みが漏れる、そしてそれと同時に頭の中に浮かび上がる一人の人物。
高校に入学して直ぐに出会った男、銀髪に紅い瞳と言う目立つ外見に初めは目を奪われ、親しくなるにつれ芯の有る中身や優しさに惹かれた。
その男、坂田 銀時が好きだと言っていたショートケーキ。
賑わう夜の街に脚を進めながら、コートのポケットを探り携帯を取り出し、坂田の番号を押す。
俺自身は、甘い物が苦手だ。頭の中に浮かんだ男にクリスマスプレゼントとして渡すのも悪く無い………、そんな事を考えながら携帯を耳に当てた。
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