贈り物
□繋がっている絆
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艦内を慌ただしく走る音が響く。
「キラさん!!」
「何?シン」
「何?じゃないですよ!!」
隊長であるキラの部屋に慌ただしく入って来た補佐であるシン。
心なしか怒りが滲んでいるような…
「また、徹夜しましたね!?」
「あ〜…。バレてたんだ?」
悪びれる様子も無く首を傾げるキラ。
そんな彼を見てシンは溜息をついた。
「あのですね…」
「ちょっと待って。今は僕達だけだし、仕事してる訳じゃないんだから敬語は止めてよ。」
「だったら無理をしないで下さい」
キラの抗議を切って捨てるシン。
それだけ、心配している証拠なのだが…
なんせこの上司は、自分の事には無頓着で、徹夜の2、3日は当たり前。
放っておけば朝昼晩と三度の飯も忘れる始末。
此処、暫くシンが食堂に強制連行をしていた為に飯の方は大丈夫だった。
然し、夜中はシンも自分の仕事があり、自室に戻ってしまった為に様子を窺う事が出来なかったのだ。
前日に、次の日は寝る事を条件に徹夜になることを許したので、きちんと休んでくれていると思ったのだが、今朝ルナマリアから隊長室の明かりが明け方まで付いていた事を聞き今に至る。
「ごめん…、このプログラムがもう少しで終わりそうだったから…」
「はぁ……だけど、何時もそう言って休まなきゃ、体壊すぞ?」
キラのシュンとした謝罪に、遂に折れたシンは敬語を崩し茶色の髪を撫でた。
「うん…ごめん…」
「キラ、オーブに後少しで付くから、少し降りようか?艦長も言ってたからさ?
『キラはずっと艦に籠もりっきりだからシンが連れ出して、外の空気を吸わせてきて!』てさ」
艦長の声を真似たシンにキラは吹き出した。
「シン、似てない!怒られるよ!」
「……笑うなよ」
若干拗ねた様子のシンに、キラは苦笑を零した。
それから直ぐにホンワリと笑みを浮かべた。
「そうだね、オーブに着いたら一緒に降りようか?」
「ああ。」
頷いたシンは、キラを後ろからそっと抱きしめた。