長編
□素直になれなくて…
【第三部】
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PPPP・・・
煩いなぁ…
ってか…もう朝か?
━ズキンっ・・
頭痛ぇ・・
飲み散らかした缶ビールの空き缶の山で埋もれていた。
ったく…片付けていけよなっ…
まだ酒の抜けきらない体を、のっしりと起こしシャワールームへと向かう。
━キュッ・・
・・ザァー・・
勢い良く出てくるシャワーに顔を当てる。
昨日…イザークと酒を飲んで…
色々、小言を聞いて…
キラが浮気をしていないと知った…
その後……
・・・・・
思い出せない…
誰か部屋に入って来たようなっ…
誰だっけ・・?
・・・・・
やっぱり思い出せない…
まっ…いっか…
思い出せないって事は…
そう大した事でもないって事だよなっ
しかし…ここまで酒に弱くなっていた事に自分でも驚く…
昔は…いくら飲んでも酔わない自信があった
二日酔いとは我ながらに情けない…
シャワーから上がりスポーツドリンクを片手に、タオルを頭に乗せワサワサ拭きながら、空き缶の山を蹴飛ばし通路を作る。
コルクボード板の写真に目をやり、顔が綻(ほころ)ぶ。
キラの写る写真に軽く口づけをし
「おはよう…」
なんて言ってみる…
今夜は久しぶりにお前に逢える…
早く・・
逢いたい・・
フフっと笑みを零し、ソファに座る…
何気にテーブルを見ると、白い四角い箱が乗っていた。
「何だこれ?」
上から覗くと『お誕生日おめでとう』のプレートが刺さったチーズケーキが、小窓から見えた。
俺にケーキなどよこすとは…
キラぐらいなもんだよなっ!
でも一体…誰が…?
昨日貰ったようだし、後でイザークにでも訊いてみるかっ!
PPPP・・・
二度目のアラームが鳴る
おっと…もうこんな時間か…
慎重派のアスランは、寝坊対策の為にいつも時間差でアラームをセットしていた。
今朝は特に大事な会議があるから…と実はもう一つセットされていたが、今回は使用しなくても済みそうである。
すぐさま軍服に着替え、髪の毛をセットし、再び写真に向かって『いってきます』と告げた後、会議室へと向かう。
頭の中で今日の議題を整理しながら、急ぎ足でツカツカ館内を歩く。