激短編
□〜健康診断シリーズ〜 V
『電気治療』
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ザフトに入隊して以来、身体検査と名ばかりのモノを、今日で三度目…いわゆる再・再検査の通告書を渡され医務室へ向かっているのは、紛れもなくこの僕である。
前回、二度と受けるもんか!なんて思っていたのに、催促されると断りきれなくて、次こそは!と変な期待を抱いているのも、僕の優柔不断な所でもある。
『二度ある事は三度ある』…と良く言うが、『三度目の正直』…って言葉を信じたい。
はぁ・・
医務室に着いてしまった。
入ろうか…どうしようか…、かなり迷う。
暫く行ったり来たりを繰り返し、こんな事をしている間にも、僕の唯一の楽しみ『おやつタイム』が削られていく。
今日は、ホントに凄いものをゲットしたんだ。
期間限定・数量限定のプレミアム商品『生キャラメル・シフォンケーキ』なのである。
食べてから来ようかとも思ったけど、やっぱり…お楽しみは最後にとっておきたいじゃない?だから、ヤな事をさっさと済ませてからにしようと、食べずに来たんだけど…
はぁ・・
やっぱ、憂鬱だよなぁ…
なんて二度目のため息をついていた。
−プシュー・・
「キラ?」
医務室から出てきた人に、僕は名前を呼ばれた。
懐かしい声の響きで振り向かずとも直ぐに誰だか分かる。
「アスラン!」
プラントに来てから、会えない事の方が多く、メールや電話はしているものの、実際に顔を見ると、胸の奥がキューッと締め付けられる感じになる。
「アスラン、こっちに来てたんだ」
「ああ、お前に逢いたくてなっ」
なんて言われると、ホント…照れて、顔がカァーッと熱くなってしまう。
「それより、お前、そんな所で何してる?早く入って来いよ」
「えっ…?」
「この姿見て、分からないか?俺、医師免許取ったんだ」
わぁっ!凄い!
成る程…アスランは白衣を身に纏っていたのである。
最初に気付くべきだったのに、懐かしさの余り、顔にばかり集中してしまって、服まで目が届かなかった。
しかも、ザフト認証IDナンバー付きの名札を胸ポケットに、ぶら下げているから正真正銘の医者である事に僕は、確信した。三度目の正直ってやつを…
やっぱ、信じて良かったんだよ。信じる者は救われるって言うじゃない。
僕はスキップする感覚で医務室の中に入り、診察用の椅子に座らされ、向かいにアスランが座った。
デスクに向かって、何やらカルテらしきものに記入した後、僕の方に向き直る。
「こっちに来てから…今日が初診だから、ちょっと緊張してたんだ。だが、まぁ…キラが最初だから、俺も安心して診れるし、いつも通り出来そうで良かったよ」
へぇー、じゃあ、結構…診慣れてるんだ…
アスランは聴診器をぶら下げて、診察するから…と僕は軍服の襟ぐりからヘソの辺りまでボタンを外し胸を開く。
「ちょっと冷たいけど我慢しろよ」
そう言われピタっと金の部分が肌に触れると、最初はひんやりしたモノが伝わってきたけど次第に慣れてきて、大きく息を吸ったり吐いたりし、ポンポンとあちこち当てられた。
「うーん、キラ…、緊張してる?鼓動が速いぞ」
「え?そう…?そんなことないよ…」
なんて答えたけど、正直、ちょっぴり緊張していた。だって…アスランに心臓の音を聞かれてるのかと思うと、ドキドキするに決まってるじゃない。
アスランは少しクスッと笑みを零し、聴診器を動かせ、ある部分で止まった。
「あれっ?何これ…?」
そう言って僕の突起物の辺りを、何度もプルンっと引っ掛ける。
そんなに…引っ掛けないでよ…って思った瞬間、いきなり指で摘まれた。
「はぅっ…」
「なに?何でこんな硬くしてんの?」
それは…君が何度も引っ掛けるからじゃない…
アスランは聴診器を外し、今度は両方の指で摘み、更にグリグリ捏(こ)ねてくる。
「ちょっ、ア、アスラン?」
「なに?」
なにって…何って…君ねぇ…
「ちょっと、別の検査が必要だなっ」
なに…それ・・
アスランは僕の開かれた軍服を肩から滑らせ、腕の所まで下ろした後、ガッシリ両肩を掴むと、その硬くなった部分に唇で挟まれた。
なっ・・なにして・・
更に舌を絡ませ、軽く歯を立てられると、ゾクッと震えた感覚が走り甘ったるい声が漏れてしまう。
「んはぁぁ…っ…」
「キラ、感じちゃった?」
「アスラン、変なとこ噛まないでよ…」
「ハハっ、これも診察のうちだからなっ」
…って何の?
アスランの唇から解放された後、デスクの引き出しから何かを取り出し、ゴソゴソし始める。