Cafe BEasT BOOK

□ある日
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「契君がまた叫んでるねー。」
「どうせ梯さんのせいでしょ。」
「相変わらずよくわかってらっしゃるね〜」
音とまことは盛りつけられた皿を運ぶと、すれ違いざまに会話を続けた。
「契さんは素直な人と接するのが著しく苦手なんです。いちいちあのリアクションに付き合わされる身にもなってみて下さい。」
「はいはい。」
「音さん」


「ご注文はお決まりですか?」
7人の中で一番長い睫毛をちらつかせながら、皇は尋ねた。
「クリームスパゲティといちごパフェのセットをお一つ、和風スパゲティとチーズケーキのセットをお一つ、食後はアールグレイかアッサムどちらになさいますか?」
無表情ともとれる顔だが、客の表情はゆるい。
皇の醸し出す美青年のたたずまいは隠せない。
「ごゆっくりどうぞ。」

「やはりお前は人気だな。」
「藍…」
「なんだその目は?働けとでもいうのか?」
藍は嫌味を含んだ笑みを返すと、中二階のてすりにもたれた。
「そこはいやでも目に入る。店の印象が悪くなるから、せめてスタッフルームにいろ」
「どーだか」
藍は階下から投げられる視線に目線を落とし、にっこり微笑んだ。
「ほらみろ。俺はここにいるだけで十分働いているぞ。」
「そういうことを言っているんじゃない、俺が言いたいのは」

「ストップ」

 
 
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