Cafe BEasT BOOK

□ある日
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声の主はオーナーの神谷だった。
飲食店のオーナーが左手に煙草をくゆらせながら入っても、客は何も言わない。
「店のツートップが言い合ってるのも印象悪く見えるんだよ〜」
「申し訳ありません、オーナー。」
「俺は言い合いしてるつもりなんか無いけど。」
「いいからここから降りろ。あと今からカメラマンが来るから、恥ずかしくない接客をしろ。」
カメラマン?
「言ってなかったか?タウン誌に載るんだ、綺麗にしろよ?」
「まさかこの客も…」
「大半が営業のヤツだろうね。まぁ、客にはかわらねぇだろ。」





「お前らやれば出来るんだな〜びっくりしたぜ!」
神谷は満面の笑みで言うが、従業員は誰一人見ていない。
「お客じゃなかったんだってな」
契がつまらなそうにいう。
「どうりでお金がおちないわけだ」
それに答えるまこと。
「あのお姉さん可愛かったのに…」
しょげた声で梯が言うと、
「そういうイレギュラーはめんどくさいね。」
祈もそれに乗っかる。
「ただ働きはごめんだって言ってるのに〜」
音もかなしげに呟いた。


「お前ら…一瞬でもすげぇと思った俺が馬鹿だったよ!」



その後、タウン誌に載ったのはいいものの、毎日忙しいことに嫌気がさした従業員は、皇以外が仕事をボイコットした。
残された皇も一人では何も出来ないので、仕方なく休みをとった。

するとCafe BEasTは、固定客を残して、ほとんどの客が去っていった。
必然的に客が減った店内は、数日のうちに元の営業に戻ったという。



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