Cafe BEasT BOOK

□小包み
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遡ること、今日の朝。
伝票と格闘していたら、朝になっていた。

「…なんでこんな時間に…」

オーナーの神谷は時計に手をのばすと、時間を確認した。
時刻は7:30。
左手にあったはずの煙草は既になく、手が灰まみれになっていた。
神谷が煙草で火傷をおうことはないが、かつては最後の1本だったそれを見て、神谷は悲しそうに目を細めた。

「…皇ー…」

返ってくる声はない。
唯一共に残業していた相手も、愛想を尽かしたか。

「なんだよ、皇まで見捨てていきやがって…」

灰まみれの左手を払うと、神谷はデスクから離れた。
財布を片手に、煙草を買いに行こうとしたが、玄関から聞こえるチャイムがそれを許さなかった。

「……はいはーい…」

チャイムを予期したような格好になっているが、それはたまたまである。
店全体が見渡せる中二階から降りると、財布の代わりにハンコを持って玄関へと向かう。

「おはようございます。お届け物です。」
「ご苦労様…」
「ありがとうございました。」

朝にぴったりの爽やかな挨拶をする宅配員に軽く会釈すると、郵便物を受け取った。

「…誰だこりゃ。」

領収書を見ると、見覚えのない名前と住所。
なんだこれ?
気のせいか、中からかすかに音がする。

「…とりあえず煙草だ…」

神谷は特に気にとめず、ハンコを財布に変えると、自動販売機へと向かった。

 
 
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