Cafe BEasT BOOK
□小包み
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「なにこの小包み。」
「お店宛てみたいだけどー…」
少し遅れて入って来た梯と祈は、机の小包みに気付くと宛名を確かめた。
「おー、おはよー。梯、祈。」
「あ、おはようございますオーナー。なんですかこれ。」
「見た限り知らない住所ですね。オーナーの私物ですか?」
「…あ?小包み?」
神谷は中二階から降りてくると、机の小包みを睨んだ。
小包み……?
「…あぁ、煙草のとき邪魔したの。」
「何かご存知なんですか?」
「いや、何も。」
「オーナーが知っていればこんなとこ置かないですよね。」
祈が耳を近づけると、中から微かに音がしている。
微弱だが、確かに鳴っている。
「…爆弾?」
「違うだろー…」
「藍さんが来たら嗅がせてみたらどうです?」
「…名案だな。祈。」
犬のように鼻を近づけて嗅いでいる姿を想像すると、結構笑えた。
「さて、今日の仕込みはどうなってますか?」
…仕込み?
その言葉に、神谷は少し動揺した。
肝心な料理を担当する契がいない。
「契は僕らより前に来るはずですよ?」
「そうそう。いつもスタッフルームでまことくんと喧嘩してますが、それも仕込みが終わってからです。」
…契は?