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□友達以上恋人未満(?)
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ガチャ


ドサドサドサ



朝8:00


オレことグリーンは現在高校3年生


職業は分かる通り職業は学生であり、本日もいたって真面目に登校してきた


そんでもって靴を入れようと下駄箱を開けば・・・ラブレターが10通ほど入っていた




「・・・・・はぁ」



まったく毎日毎日と・・・


オレは中学に入ったころから、自分の下駄箱を見たら大抵ラブレターが入っているという面白い事態が続いていた


だがオレは今現在誰かと付き合おうと言う気は一切なく、正直迷惑している


しかしオレの意に反してラブレターの数は減ることを知らず、未だにこういった事態が続いている


オレは周囲の物珍しそうなモノを見る目を耐えつつ、散らかったラブレターをかき集める


とりあえず全部まとめて鞄に突っ込む


あとで処分しとくか・・・





「あ、グリーンだ。おはよ〜」


「・・・・」


「よォ、お前らか」



そしてそんなオレのところに現れたのは、同級生でクラスメイトのレッドとカスミだ


レッドは黙っているが、ちゃんと手軽く上げて「おはよう」と言ってくる。基本的にコイツは無口なのだ


そんでもってオレの視線は二人の間にある手に向けられる


その手はちゃんと繋がれており、分かりやすく言えば「恋人繋ぎ」だ


カスミがオレの視線に気づいたのか、繋がれてる手をチラリと見て、なんでもないことのように説明する




「あ、これ?

レッドが寝ぼけてフラフラ歩いてたから、私が引っ張ってきたのよ」


「・・・大丈夫だって言ってるのに」


「嘘言わない!私がいなくちゃアンタ、学校に付く前に20回くらい電柱にぶつかってるわよ?」


「・・・そんなことない」


「幼馴染の私が言うのよ?間違いないわよ」




ちなみにこの二人、付き合ってはいない


二人が言うには『腐れ縁』だそうだ


しかし、レッドはサッカー部のエースストライカー。カスミは水泳部エースであり、インターハイ3位の実力の持ち主


この学校有名人の二人が並んで歩けばイヤがおうでも周囲の視線は集まり、学校の大半の人間が二人の仲を確信している


だが本人達には一切その気はないと言う




「ホラ、ネクタイ曲がってる!」


「ちょ、自分で出来る「あ〜、分かったからジッとしてなさい」」


「・・・・」


「はい、これでよし」


「・・・・」


「ん?どしたの?」


「・・・ありがと///」


「っ、な、なによ突然//気持ち悪いわね///」




もう一度言う。二人は付き合っていない


もう一度言うぞ?付き合ってないんだ!!


オレだってお前らの言いたいこと分かるよ?


だけどしょうがないじゃん!二人がそう言ってんだからさぁ!?



『ねェねェ、あそこにいるのレッド先輩とカスミ先輩かな?』


『わぁ〜、相変わらずラブラブね〜』


『私もあんなふうに大事な人ができたらなぁ・・・』


「くっ・・・」



そろそろ周りがうるさくなって来そうだ・・・


だがこの二人にそんなこと気付けという方が無理なので、こちらとしても実力行使でいこうと思う




「ほらお前ら、もうチャイム鳴るんだから教室に行くぞ!」


「ちょ、ちょっと何すんのよ!」



オレは二人の背中を両手で押し、無理やり教室に連れていく


こうでもしないと、永遠とイチャイチャしてるのを見せつけられることになっちまう・・・


朝から貴重な体力を消費するのはまっぴらゴメンである


オレが二人を教室へ押しやると、ちょうどHR開始のチャイムが鳴りだした














授業中


オレ達の1限目の授業は歴史であり、オレは教師の言っている能書きをクソ真面目にノートに書き込んでいた


いちおう学者を目指している身としては、勉強は疎かに出来ない


オレの席位置は教室の真ん中の一番後ろの方であり、黒板を見るには少し苦労する位置にいる


オレは何気なく顔を左に――ちょうど窓際の方へと目を向けた


すると、ちょうど教室の後ろ左角2席。レッドとカスミの姿が目に入った


カスミが後ろ、レッドがその前に位置している


レッドは授業を聞きもせず居眠りをしていて、カスミは真面目にノートをとっていた。


つ〜かレッドよ。お前も受験生なら授業くらい聞けよ!


オレがそんなことを思っていると、眠っているレッドに気付いたカスミが指でチョンチョンとレッドをつつく


だがレッドは気付かず、少し身じろぎをするだけでまた寝息を立てはじめた


カスミはその反応に少し驚いたが、すぐにニヤリと何か面白いオモチャを見つけたような顔をすると、またレッドをつつき始めた




「ん〜っ・・・」




レッドがまた軽く身じろぎ、今度は小さく声もあげる


カスミはますます面白いのか、またレッドをつつき、その反応を楽しむ




「・・・・はぁ」



オレはそんな二人に呆れつつ、授業に意識を集中させた


他の連中はそんな二人の様子をチラチラと落ち着きなく見ているが、まあ気にしないでおこう














12:30 昼休み


オレはクラスでも比較的仲のいい男共と机を囲い、一緒に弁当を食っていた


レッド達と食ってもいいのだが・・・まあ色々わけはある



「なあグリーン」



そんな時、グループの一人がオレに話しかけてきた



「なんだ?」


「あのさぁ、カスミさんとレッドって付き合ってないってマジか?」



またか・・・


先ほども言ったように、レッドとカスミは学校では有名人であり、ということはファンもいるというわけで


オレの目の前の男のように、片方を狙おうとアイツらと仲の良いオレにアイツらの仲を聞いてくるやつもいる


ちなみに男女問わずである


割合的には3日に1回くらいか・・・




「・・・まぁな」


「そ、そうかぁ!よ〜し・・・」


「やめとけ」


「な、なんでだよ!?付き合ってるヤツいないんなら問題ないんじゃ――」


「んっ」




ビッとオレは箸で窓際を指差す


そしてカスミ狙いの男&聞き耳を立てていたその予備軍どもは、窓際に目を向けた


そこには、向かい合わせで弁当を食っているレッドとカスミの姿があった




「アンタさぁ、いい加減一人で起きれないの?」


「・・・起きれるよ」


「へェ〜、毎朝幼馴染に起こしてもらってる人は誰だったかしら?」


「うっ・・・」


「ったく・・・あ、その卵焼き頂戴」


「これから頑張る・・・」


「ホントでしょうねェ?あ、レッドの卵焼きおいしい」


「ホントだって・・・・カスミ、唐揚げくれ」


「いいわよ〜、はい。でもアンタ、昔から長続きしたことないじゃない」


「あむっ・・・これ美味いな」


「でしょ〜?それ私が何回も練習したんだから♪」


「でも問題ないと思うけど・・・」


「なにが?」


「だって、大人になってからもお前が起こしに来てくれればいいだろ?」


「はぁ!?////」


「・・・どうした?」


「どうしたってアンタ、自分が何言ってるか分かって「あ〜ん」」


「へ・・・・」


「ホラ口開けろよ・・・あ〜ん」


「ふええ!!?///」


「あ〜〜〜〜ん」


「・・・・あむっ///」


「・・・何怒ってるか知らないけど・・・これで機嫌直せ」


「・・・・バカッ////」











「・・・グリーン」


「なんだ?」


「・・・・あきらめるよオレ」


「賢明だな」




元・カスミ狙いの男&元・その予備軍どもはガックシと首を落としながら席に着いた


オレは気にせずにいつものことと箸を進める



そもそもな話、なんでアイツらは付き合っていないなどと言うのだろうか?


あんなもん、そこらのカップルよりもよほどベタベタしてるぞ


つ〜か見てる方が恥ずかしいくらいだ


・・・まさかあいつら、社会人になってもあんな関係じゃねェだろうなぁ・・・



「いやまさかな・・・・」



・・・・とは言い切れないから恐ろしい


まったく、早いとこくっつけばいいが・・・



あ〜、アホくさ・・・




END

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