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□鷹とネコ
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「・・・目標(ターゲット)は?」




「距離は・・・850Mってとこか」




「アレが噂の『血まみれ伍長』様か・・・」




「ああ・・・なんでも4日前、自分の肩にぶつかった部下を半殺しにした後、首を自分のテントの玄関にさらしているらしい。

・・・横風はほぼ無風だ」


ガチャッ




「タイミングは・・・?」





「7秒待て・・・・・・・2、1――いいぞ」




「――――っ」




カチッ














「グハッ・・・・ご、伍長殿、なにを」



「なにをだァ?テメェを教育してんだよっ!!」



ゴキリッ




「――っぎゃあああああああああああ!!!足がァ!足が折れたあああああっ!!!!」



「キハハハハッ!!いいか、次オレに舐めた口聞いたら(パンッ)―――――アヘっ?」



「!?」



「あ・・・アレ・・・おかしいな・・・胸が、熱(パンッ)」




ドシャァ














「お見事、たった2発か」



「別に・・・任務完了。引き上げるぞ」



「あ、ちょ・・・おい!自分の荷物くらいは持てよレッド!!」



「ウルサイ・・・運転はオレがしてやんだから文句言うな」



「へぇへぇ、分かりましたよ『紅瞳の鷹』さん」




「チッ・・・」



ガチャ、ブロロロロロロロッ・・・・











戦争の原因には様々な理由がある



人種差別、核貯蔵、金、資源問題、ギャング抗争、女、etc・・・



あげたらキリなんてありゃあしない



実のオレも、そんなことを考えるのは6歳の頃に母親がオレをかばって目の前で銃弾に倒れて以来やめた


それからしばらく、ドブネズミみたいな生活を送った・・・



勝手したたる紛争中のスラムだ。銃のお勉強はし放題だった



オレが人間らしい生活を送ったのは6年間。世にもすばらしいクソ溜めの世の中だ・・・殺らなきゃコッチが殺られる




毎日のように、奪い、奪われ、殴り、殴られ・・・殺した


理由は単純。単に飯と寝床を手に入れるため・・・心が死んで行くのが分かった



生活に慣れたころに、割れた鏡で自分の顔を見た・・・笑うことも、泣くことも忘れた顔・・・まるで死んだ犬のような顔だった




オレは6歳にしてこの世を真理を知らされた




そして8歳の冬・・・オレはどこぞのギャング共の気まぐれで、一晩をかけてボロ雑巾にされて道端で血を流しながら死ぬのを待っていた


その時のことを、19の今でも覚えている・・・



オレはただ空を見ていた



雨が降って、顔に雨粒が落ち、それをただ見つめていた・・・


血を出し過ぎたのか、手足も動かない





『レッド、朝ごはんなにがいい?』




「・・・・・」




『こらァ、レッド!ベットの上を跳ねちゃいけません!』




「――――あ」




『なぁに?ママに甘えたいの?』




「――――あ、ああ」




『レッド、だめよ遠くに行っちゃ』




「・・・さ、ん」




『レッド、待ちなさい!』





「かあ・・さ、ん」




『レッド!危な(バァン!!)』




「かあさん、母さん・・・っ」



『れ・・ッド・・・強、く・・生きるのよ・・・っ』





死にたくない、シにたくない、死にたくない、死にたナイい、シニタクない、死にたくない、シニタクナイ―――!!




オレは泣いていた・・・



声をあげて泣いていた・・・



ただ母の名を口にしながら、涙を流していた



そしてオレは――――





ドンドンドンッ!!




「――――っ!!」





目を開ければ、そこはいつもの無機質なオレの部屋だった



旧式のテレビと、イスに置いてあるマガジン、銃用のロッカー、酒しか入ってない冷蔵庫、そしてベットと・・・母さんの写真だけだ



「んっ・・・」



軽く体を伸ばし、何気なく母さんの写真に目をやる


写真は唯一残っているものだ


そこには幸せそうに笑っている母さんと、抱かれている3歳のオレがいた




「・・・・・」




別に今更悲しむことはない・・・ないが・・・




ドンドンドン!!



「おいレッド!飲みに行くんだろ?
誘っといてサボってんじゃねえよ!!」



忘れていた・・・



部屋の外で怒鳴っている親友兼相棒の声に若干イラつきながら、上着を着てジャケットを締める



「おい、レッド!」



「今行くよ緑!」



「誰が緑だ!!」




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