BL小説

□悪戯に羨望
2ページ/9ページ



「伯爵様」
メイドが俺を呼んでいる。正直、この呼ばれ方にはまだ慣れていない。
「…なんだ」
「ピオニー皇帝陛下より『すぐに参上せよ』との事です」
「…わかった。すぐに行く」
俺は読みかけの本を机に置き、肘掛け椅子から立ち上がる。
「またか…」
外殻大地が降下後、ファブレ公爵家の使用人だった俺は暇を出され、ピオニー皇帝から屋敷を頂いて貴族として生活している。
俺がしなくてもメイドが家の中の事をすべてしてくれる。
使用人の頃が長かったせいか、慣れるのには時間がかかった。
そんな俺の事を知ってか知らずか、陛下はこうして俺を呼び付けては雑用を押し付けてくる。
「ジェイドの旦那もいるだろうに…」
気が付けば俺は独り言を呟いていた。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ