BL小説

□FESTIVITY FIREWORKS
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「しもた!今日やったんかぁ」
私は寝起きに朝食(といっても今はもう昼過ぎ)のトーストをかじりつつ、新聞を広げるところだった。たまたま目に付いたテレビ欄に、天神祭の様子を放送する番組の予告が載せられていたので驚いたのだ。このところ外出をしない生活をしていたせいもあり、日付と曜日の感覚が全くない。
「もうそんな時期やねんなぁ」
そう呟いてから、新聞に目を落としつつもトーストをたいらげる。
日本三大祭、また大阪三大夏祭りのひとつとして数えられる天神祭。地元の愛称は『天神さん』。大阪にあるテレビ局では毎年、本宮の日を生中継で放送している。

よく考えてみれば愛染さんに行き損ねていた。家のすぐ近くだし、火村と一緒に行きたかったのに。
ふと思い付いて、准教授の携帯にコールする。火村はすぐに出た。
「今晩暇やんな?」
「おいおいアリス…そんな急にどうしたんだ。まぁ暇っちゃ暇だが…」
私とは対照的で声に気怠さがある。京都の夏は特に暑いからだろう。毛皮が3匹もいる事だし。
「あと浴衣持ってる?」
「確か婆ちゃんにもらったのが…」
「じゃあ今晩7時にそれ着て天満の駅で待ち合わせな!」
私は電話を切った。
火村の浴衣姿が見たい。
そう思ってかけたさっきの電話も、推理力の鋭い火村ならきっと意味をわかってくれるだろう。
私はさっそく、家のどこかにあるであろう自分の浴衣を探す事にした。



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