BL小説

□CRY
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世間の噂に疎いアリスに、ほんの軽い気持ちで嘘をついた。

「○月×日に地球は滅亡するらしいぞ」
アリスの部屋に行って、新聞を広げて読みながらさりげなく言ってみた。
「…うそ!?」
いつものコーヒーをソファですすっていたアリスが驚いた表情で俺を見る。
「絶対嘘や」
カップに視線を落とすアリス。嘘には違いないが、こんな反応をするとは思わなかった。尚もアリスの様子をこっそり窺う。
「そんな話いっこも聞いてへんけど…ほんまにほんまなん?」
顔を上げたアリスの目が、心なしか潤んでいるような気がする。
「らしいぜ。俺も学生から聞いて半信半疑なんだが」
「そんなん嫌や…滅亡とか…」
見る間にアリスの両方の目から大粒の涙が零れ落ちてきた。
「キミともうそんなに過ごされへんとか…ありえへん。なんでキミはそんなに冷静なん? 悲しいとかないん?」
アリスはそんな風に考えるのか。
「…ないぜ」



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