企画小説

□Smile to me
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「あぁガイ。今日の午後、片付けに来てくれませんか?」
今朝ジェイドにそう言われた俺は今、昼食もそこそこに彼の執務室の前に立っている。それなのに、いくらノックをしても出て来る気配がしない。
恋人なのだから遠慮も何もないと思うのだが、ここは彼の仕事場であるからそんな場所に無断で入る訳にもいかない。

ドアの前でそうやってしばらく逡巡していると、ジェイドがいつもの微笑みを湛えて現れた。
「おや? ガイ。中で待っていてくだされば良かったのに」
俺は恋人の突然の登場に驚いて何も言えなかった。考え事をしていたとはいえ、部屋の前でぼさっと立ち尽くす姿を彼に見られた事が恥ずかしかった。
「ここの片付けをやるんだろ? さっさと終わらせよう」
ジェイドの顔は見ない。
見れなかった。
何故か、胸の中がもやもやしている。



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