BASARA

□SS
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《思い立ったが吉日》

(※学パロ)
(※毛利→生徒会長)
(※アニキ→フィッシング部部長)


「なんか用かよ」

「用は何もない」

「へえ、そうかい」


釣糸を海面に垂らして、魚がかかるのを待っている。
今日のフィッシング部の活動は海釣りだった。
渓流釣りの回数が減ったのは今年から部長になった長曾我部の趣味で、だが部員も特に異論を挟むことはない。


「じゃあ何しに来たんだよ」

「海を見に来たのだ」


どかり。
長曾我部から30cmくらい離れたところに腰を下ろす。


「アンタ生徒会の仕事はどうしたよ」

「とうに終わらせたわ」


毛利はふふんと鼻で笑うと長曾我部の隣にあるバケツを覗き込んだ。


「なんだ、まだそんな釣れてねーよ」

「そのようだな」


バケツの中には数匹の魚がいた。びちびちとまだ跳ねている。


「アンタって海好きだったっけか」

「我が好むは日輪のみぞ」


ではなぜ海を見に来たのだろうか。
長曾我部の頭の中で疑問が浮かんでは消えた。

その時。


「えいっ」

「ちょ、おいアンタ何しやがる!」


ばしゃん!!

魚達がまとめて海面にダイブした。
毛利の片手には空っぽのバケツ。
表情に変化はない。


「ふん」

「ふん、じゃねえよ!
何してくれてんだ!明日の俺の弁当のおかずになる予定だったんだぞ!」

「知らぬわ」


怒りよりも驚きに見開かれた碧眼は呆然と毛利を見ていた。
何しに来たんだコイツ。
って、俺の邪魔しに来たのか。
いやいやいやワケわかんねえし。


「おお、もうこのような刻限になってしまったか。
というわけで我は帰る」

「ふざけんな!!」


振り向かずに歩き始めた毛利の背中に向かって長曾我部がギャーギャー喚く。


「…ふん」


実は、生徒会の仕事はまだ終わっていなかった。
副会長の清水がポカをやらかしたのだ。
募る苛々に眉間の皺を深くしていたら急に長曾我部の顔が浮かんだ。

あの男でストレスを発散してやるか。

こうして迷惑な生徒会長は日輪の光降り注ぐ海へと足を向けたのだった。
長曾我部にとっては、いい迷惑な話である。









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アニキに理不尽ないじめをする毛利という構図が好きです。
でも無意識に毛利のメンタルを抉るアニキという構図も好きです←
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