BASARA

□戦国
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《逝き先》


あの人の呼ぶ声が聞こえるの。真っ暗な闇の中で何も見えないのに、声だけが遠くから。目なんて、開けていても閉じていても一緒。だってどこを見ても同じものしか見えないから。暗い地の底から現れた魂達と、市をまたこの世という地獄に引き摺り込もうとする兄さまの遺した影達と。どちらも暗くて冷たいもの。

ああ、助けて、助けて■■様!
市の事も■■様のところに連れていって!

市がいくら叫んでも■■様のところへは届かない。

一体なぜ?誰かが市に意地悪をしているの?

そこまで考えて、市はやっと気が付いたの。どうして市の声は■■様に届かないのか。どうして■■様は、市のことを迎えに来てくれないのか。

考えてみれば当たり前のことだったのね。

明るい光の中にいる■■様と、生まれたときから魔王の妹だった市が、同じところになんて逝けるはずがないもの。

きっと■■様は、光り輝く天国に逝ってしまったのね。
市には眩しすぎて見えない世界。市から一番遠い世界に。



…だから市は死んでも■■様には会えないの。



だって市はもう、暗い地の底から離れることが出来ないから。














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初めて3をプレイした勢いで書いたんですがプレイヤーも既に長政様が恋しいです。幸せな浅井夫婦が見たい…
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