神の子
□世界の果て
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-The other story-
目が覚めると真っ白な世界にいた。
いや、違う。
ここは、どうやら病院のようだ。
ベッドに眠るのは私が世界で一番大切な友人で家族。
コスモスが今までここにいてくれたんだ。
僅かに感じる小さな温もりに微笑んで、深雪の様子を見る。
ただ、眠っているだけみたい。
今はそっとしておこう。
人として見ていた景色、神様として見ている景色。
こんなにも違うものなのか。
視野が広がりすぎて追い付かなくなる。
やっぱり私は私のままみたい。
それでも大丈夫だよね?
私は一人じゃないってたくさんの欠けがえの無い人たちが教えてくれたんだから。
深雪「あ、やっぱりここだった。」
『!深雪!…………もうここまで歩けるようになったんだ』
深雪「まぁね、退院はすぐにでもできるって。
……ずっとね、知らない人からお見舞いの品をもらってたの。
その人はいつも私が眠ってる間に来るみたいで、顔ももちろん名前だって知らない人なんだけど、
すごく暖かくて、私のお母さんかお父さんかなって思ってたんだ。」
屋上の風が心地よく体温をさらっていく。
燕が風をきって空をかけていく。
深雪「でもね、その人は私の両親なんかじゃなくて、綺麗な……女神みたいな人だったの。
さっきも来てたんだけど、"春菜をお願いします"ってだけ言って行っちゃった。」
『その人の姿を見たの?』
深雪「う〜ん……見たというか夢で見たって言うか……。
なんだかそこらへんぼやけてるんだよね……。
でも言葉も綺麗だったっていう曖昧な印象もハッキリ覚えてて、
……私もよくわかんないんだ。」
『……そっか。私って結構お見舞いサボってた?』
深雪「?まぁ、その人のお見舞いの品を春菜からだって勘違いしてた期間を含めると一ヶ月くらいかな……。
なんで?どっか行ってたの?」
一ヶ月……か。
『ううん、何でもない。
すぐにでも退院できるなら今届け出そうよ。先に行ってて。』
深雪「??うん、わかった。」
パタン、と屋上の扉を閉める音が耳に入ってからずっと空を見っぱなしのこの瞳に溜まった涙はどこに流せばいいのかな。
『コスモス……ありがとう。』
守ってくれてありがとう。
届いてくれるかな……。