Book1《1》
□呼び名
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「シカマル」
「ん?」
シカマルの部屋で2人まったりしていたところ、ふとナルトがシカマルを呼んだ。
「シカ」
「だからなに?」
呼び掛けにはしっかり反応していたが。
「シカさん」
「寅さんみたいだぞ」
一回一回呼び名が変わっている。
「シ、」
「だからなんだっつーの」
再びナルトが口を開けば、シカマルは呆れて言葉を遮った。
「むぅ〜。いろんな呼び方研究してたんだってばよ」
「呼び方?」
膨れっ面のナルトの頬をツンとつついて聞き返せば、ブッと息を吐き出し、そうだってば、と返事が返ってくる。
「今までシカマル〜とかシカとかしか呼んだことなかったから。他の呼び方したらどうかなって思って」
ニシシと笑って言うナルトにシカマルは、めんどくせぇことよく思いつくよな、と苦笑した。
「ねぇ、シカちゃん」
「可愛すぎねぇか?」
「そうかな?」
「いや、おまえが」
「え、」
“シカちゃん”は呼ばれた本人より呼ぶ人の可愛さが際立った。
「なんで俺なんだってばよ、シカくん」
「…なんかムカつく」
「えーっ」
“シカくん”は何だか見下されているような。
それを感じ2人して笑い合った。
「シカ様」
「いいなソレ」
「却下だってば」
“シカ様”はメイドのようでシカマルは気に入ったが、ナルトは自分が言ったにも関わらず、そんな趣味はない!と気にくわなかったようだ。
「んー、シカたんvV」
「俺はそんなキャラか?」
「キャラ変すればいいってばよ」
「それこそ却下だ」
“シカたん”はキャラが違う為、あえなく却下。
まぁシカマル的には、キャラ変なんかめんどくせぇ、という考えなのだが。
「うーん、なかなかしっくりくるのないってばねぇ」
腕を組み唸るナルトを横目にシカマルは、もういいだろ、と溜め息をついてベッドの上にゴロンと寝そべった。
その様子を見て、ナルトものそのそとベッドによじ登りシカマルの横に寝転んだ。
「やっぱりアレだってばね」
「あ?」
すり寄ってくるナルトの頭をよしよしと撫でる。
「“シカマル”が一番だってば!」
ニカッと笑ったナルトの額にチュッと口付けて、超馬鹿、と頭を小突く。
「結局変わんねーじゃん」
そう言いながらも柔らかい笑みを見せるシカマルに、ナルトはえへへと笑ってキスをした。
END.