お題
□妹に欲しいな
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「…って、なんで妹!!!??」
バンッと机を叩くのはツインテールを揺らすナルト。
「…るせぇなぁ。いーじゃねぇか妹で」
「いいわけないってばよ!!何が悲しくて好きな人に妹扱いされなきゃなんねーんだってば!」
「あー、はいはい」
「ちょ、キバっ!真面目に聞けってば!」
耳を塞いで机に突っ伏したキバを勢いよくガンガン揺らせば、相方の赤丸がクゥーンと同情するような声をあげた。
「なんだってばよ!赤丸までキバの味方か!」
「こらこら、赤丸にまで当たんじゃねぇよ」
「だって…っ!」
言葉を詰まらせたナルトはそのまま顔を俯かせた。
「…あー、もう」
先ほどまでの勢いはどこへやら。
キバはシュンとうなだれたナルトの腕をグイと引っ張って、そのまま椅子に座らせた。
そして俯くその頭を優しく撫でて、きっぱりと言った。
「お前は可愛い」
「え…」
驚いて顔を上げたナルトの目には、真っ直ぐ自分を見据えるキバの姿が映る。
「お前は気付いてねぇかもしれねぇけどな、ナルトのこと彼女にしたいって狙ってる奴、結構いるんだぜ?」
言葉遣いはがさつだが、持ち前の明るさと眩しいほどの笑顔に、心を奪われた奴が何人もいる。
「う、うそだってば…」
「ウソじゃねーよ。だからな?自信持て」
「キバ…」
優しい顔でニッと笑うキバに胸の奥が暖かくなる。
「つか何なら俺の彼女になるか?」
「…それこそ妹みたいにしか思ってないくせに。よく言うってばよ」
「ははっ、よく知ってんなっ」
ガシガシと頭を撫で回して大きく笑うキバに、ナルトの顔にも自然と笑顔が戻る。
同じクラスのキバには、ことあるごとに相談にのってきてもらったナルト。
あーでもないこーでもないと輪廻のごとく悩み続けるナルトに、キバはいつも本音でぶつかっていく。
だからこそナルトはキバを信頼するし、キバはキバでギャーギャー騒ぐナルトを面倒臭いと思いつつも可愛いと思っている。
だがそんな二人にはお互い恋愛感情なるものは無く、何よりナルトはシカマルが好きだし、キバはナルトの恋を応援をしている。
健気に面倒臭がりやのシカマルを想うナルトをキバは妹のように思い相談にのっていたのだ。
「ねぇ、キバぁ。…俺ってばシカマルの彼女になれんのかなぁ」
ふと笑顔を消して不安げに言うナルトに、キバは何故だか不敵に笑んだ。
「そんなん俺が知るかよ。つうか…もし俺がなれないっつったらどうすんだよ?」
「っ…! そんなの…、嫌だってばっ!」
「もう他の奴の彼女になっちまえば?」
「シカマルじゃないと意味ないっ!!なんでそんな意地悪、」
「だってよ、シカマル」
「 、…え?」
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