お題
□妹に欲しいな
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ニヤリと笑ったキバの目を追って振り向けば、口を手で覆い顔に朱をはしらせたシカマルの姿。
「…シカ、マル?」
ぽかんとするナルトを我に帰らせたのは、ガタッと椅子を引く音だった。
「っ…!きっキバッ!!わざとあんなこと…っ!」
「さぁ、なんのこと?」
真っ赤に染めた顔でキッと睨まれてもちっとも怖くない。
赤丸を抱いて去っていく背にもう一度名前を叫ぶが、ヒラヒラと片手を上げられただけに終わった。
「キバっ…!」
捕まえてやろうと追いかけようとすれば、
「ナルト」
シカマルがナルトの腕を掴む。
「シ、カ…」
恥ずかしくて真っ直ぐに顔が見れないナルトとは対照的に、シカマルはジッとナルトを見つめた。
「ナルト…、さっきの言葉、本当か?」
恥ずかしすぎて逃げたい気持ちを抑え、なんとかコクリと頷き小さく呟いた。
「うそなわけ、ない」
ぼそりと言ったそれはシカマルの耳にしっかりと届いて。
「ナルト」
呼ぶな否や、腕をグイとひいて脇目も触れずにズンズン歩きだしたシカマルに、慌てたナルトはわたわたしながらついて行く。
そしてついた先は人気のない裏庭で。
「…シカマル?」
恐る恐る様子を伺うナルトに、シカマルは我慢出来ないというように言った。
「ナルト、」
「な、なんだってば?」
「抱きしめていいか?」
「っ―!」
瞬間、握っていた腕を引き寄せギュウと力一杯ナルトを抱きしめた。
「ずっと、こうしたかった」
ナルトの耳元でシカマルが囁く。
カァッと真っ赤になったナルトだが、しかし冒頭の言葉を思い出す。
「でも、あの時は妹みたいって…」
「悪い…あの時は、素直になれなかった。本当はずっと、俺だけの傍にいてほしかった」
「シカマル…」
「なぁナルト」
体を離し真っ直ぐに瞳を見つめる。
「俺の彼女になってくれねぇか?」
うるっと瞳を湿らせたナルトだが一生懸命にへらっと笑って。
「もちろんっ!」
緊張で強張った顔がフッと和らいで、シカマルもやっと笑顔を見せる。
「好きだ、ナルト」
「俺もだってば!」
そうしてまた、2人はきつく抱きあった。
→オマケ.