お題

□種明かし禁止
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「ック、」

「ハァ、ハァ、」


周りをグルリと囲んでくる敵に、背中合わせの上忍下忍共に息を切らす。


(くそっ!数が多すぎる…っ!)
(早く来いってばよ本体ぃぃぃ〜!)


ナルトが痺れを切らして心の中で叫べば。





「よーう、大変そうじゃねーの」
「お待たせしました」


「「「!?」」」




ドロンと音を立てて例の二人が現れた。



(おっせーってばよ!)
(わりぃわりぃ)



キッとナルトに睨まれた蒼綺は苦笑して謝った。


「あ、あの、あなた方は…」
「!もしかして、」


突然現れた二人に上忍は見覚えがあるようで目を見開いた。


「カカシ、アスマ…雑魚相手になにしてるんです。後でみっちり扱いて差し上げますから覚悟なさい。」
「「ひっ!」」


そしてあっという間に青ざめる。


「まあまあ、とりあえず目の前の雑魚を片付けちゃおうぜ」


調教はそれから。
そう言う蒼綺にそうですねと頷いた黒影。


「危ないので下がっていてください」
「5秒で終わらせる」


ニヤリと笑ったかと思うと次の瞬間にはそこにいたはずの二人がおらず、敵の呻く声が響いた。


「え…なにがおこったの?」
「敵が、あっという間に…」


呆然とする下忍がやっと目に捉えたのは、無惨に地に伏せる敵とその真ん中で返り血一つ浴びず佇む暗部の二人。


「なんだ、ちっとも手応えねぇな」
「そりゃあそうですよ。数は多くても所詮は雑魚ですから」


やれやれと首をすくめた蒼綺はボロボロの下忍たちを見やる。


「大丈夫か?」
「は、はい!」
「カカシ、アスマ、お待たせしました。さあ、調教の時間です」
「「!!!!」」


心配してくれる蒼綺の隣で、上忍にニヤリと笑みを見せる黒影。


「そ、それだけはご勘弁を…っ!」
「わ、我々などに副隊長様の貴重な時間を割いていただくのは申し訳ないです!」
「ぁ、そ、そうです!もっと大切なことに時間をお使いください!」


見苦しい言い逃れに下忍たちは白けた目を向ける。
よく分からないがこんなに強い人がそんな言い訳に耳を傾けるわけがないだろうに。


「…それもそうですね」
「「「「ええっ!?」」」」


あっさりと頷いた黒影に下忍たちは目を丸くする。


「黒影?」


蒼綺もいつもの黒影らしからぬ発言に首を傾げたが、くるりとこちらを向いた黒影にハッと理解した。


「こ、こくえい?まさか…」
「さ、蒼綺。さっきの続き、しましょうか」


にっこりと笑みを浮かべる黒影にひくっと頬が引きつる。


「あぁ、そうか。敬語は嫌なんだったな」
「ちょ、黒っ、場所考えっんんっ!」


抵抗する蒼綺をガッシリ捕らえて、その唇をくちゅりと塞いだ。


「ンン、はっ…ん、」
「ナル可愛い」
「はぁ、んっ、しかぁ…」


すっかり自分たちの世界に入ってしまった暗部の人たちに、顔を赤らめたりポカンとしたり様々な反応を示す下忍上忍。



「こりゃ見てらんないね…て、アレ?」


そんなこと言いつつバッチリ視界に捉えているカカシは、ハタとあることに気付く。


「今、“ナル”と“シカ”って言った?」


ピタリと止まった空気。
蒼綺と黒影も唇を合わせたまま固まった。


そんな中最初に聞こえたのはハァ…という深いため息で。


「ちょー馬鹿…」
「そ、そうだってばよ!それじゃ何のための暗部名かわかんねーってば!つーか家までガマンしろっ!」


ため息を吐き出したのは影分身のシカマルで、それにハッとした同じく影分身のナルトが一気にまくし立てた。


「…いや、確かにやっちまったとは思ったが我慢はできねぇ。わりぃな」
「ソレ絶対わりぃって思ってないってば!」


黒影が頭を掻きながら言う隣では未だ顔を真っ赤にして固まる蒼綺。


「ね、ねえ。一体どういうことなの?」
「暗部のおにーさんたちが“ナル”と“シカ”?ナルトとシカマルと同じってこと?」


サクラとイノが暗部の二人と下忍の二人を見比べながら首をひねる。


「ったく、めんどくせー。オレは知らねーからな」
「自分たちでせきにんとるってばよ!」
「責任、な」
「そうそれ!」


呆れてナルトの頭をポンポン叩くシカマルはじゃあなと言って消え、隣のナルトもまたボフンと音を立てていなくなった。


「え、えっ!?影分身!?」


驚く面々を差し置いて固まったままだった蒼綺がやっと動き出す。


「えーと…。実はオレとシカ、暗部だったんだよね」
「めんどくせーがそういう訳だ」


ポンッと変化を解いた暗部の二人は、言っていた通りよく知るうずまきナルトと奈良シカマルで。


「ええっ!?」
「ちょ、なんでそーなるのよ!?」


訳が分からないと言うみんなに、九尾がどうの、とシリアスな話を聞かせる。
すっかりシン…としてしまった雰囲気に苦笑しながら蒼綺ことナルトが言った。


「でも、いつもシカがいてくれたから平気だったんだ。シカがいなければオレはここにいなかった。本当にシカには感謝してる。ずっとずっと一緒にいたいって、いてほしいって思う」


ふわりと笑ったナルトはシカマルを見つめる。


「…ずっと一緒に決まってんだろ、馬鹿ナル」
「、へへっ」


コツンとおでこを小突かれて恥ずかしそうにはにかむナルト。


「っ、可愛いすぎ!」
「ふわっ!」


我慢できずシカマルはナルトをぎゅうと腕に閉じ込め耳にチュッとキスを落とす。


「ぜってぇ離さねえ」
「んっ、ちょ、シカ」
「もーまじ可愛い」
「ぁ、ん、は…しかぁっ、」


再びクチュクチュと人目を忘れて唇を重ね合わせる二人に、サッと目をそらした。

思うことは皆同じ。










((((((知らなきゃ良かった…!))))))










色んな意味でなかなか受け入れられない彼らだった。









END.
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