お題
□出口どっち?
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任務が終わって、黒影から受け取った暗号文に目を通す。
「えーと、なになに…“シノモリニテ、イチバンタイセツナモノヲウバウ”?なんだこれ」
死の森にて、一番大切なものを奪う。
「脅迫…?いや、罠か?」
死の森には蒼綺と黒影の隠れ家がある。
「大切なもの…」
何だかんだ言っても蒼綺にとって一番大切なのは相方の黒影で。
「たとえ罠だとしても…行くしかないか」
そう呟いて蒼綺は姿を消した。
「…いるみたいだな」
死の森の隠れ家から黒影の気配がする。
他に怪しい気配が感じられないため、警戒しながらも正面から家に入った。
「………黒影?」
暗い部屋に声をかければ。
「ようこそ、披露宴へ」
パッと明かりが付いて目に飛び込んできたのは、タキシードに身を包んだ黒影と天井まであるウエディングケーキ。
「…どうもおめでとうございます。…で?出口どっち?」
くるりとUターンした蒼綺の腕を、黒影はがっしり掴んでニヤリと笑う。
「同意が無理なら既成事実を作っちまおうと思ってな」
「…頭いーんだか悪いんだか」
「ウエディングドレス、ナルトにはこれが似合うと思うんだけど」
これでも結構心配したんだけどな、とため息をついた蒼綺はされるがままドレスを着せられる。
「てゆーか何?暗号文はシカマルの仕業?」
「おう。一番大切なもの、つまりナルトの心を奪うっつーわけ」
「…あっそ」
おぉ、やっぱり似合う!と抱きしめてきた黒影に、もう一度ため息をついた。
(そんなことしなくても、ずっと前から俺の心はシカのものだって)
END.