お題
□待ち伏せ失敗?
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《シカナル+キバ》
「…なにやってンの、おまえ」
木の陰に隠れる悪友の不審な行動に、たまらず声をかけた。
「あ、キバ!しーっ!だってばよ!」
イヤイヤ、おまえがうるせぇから。
ナルトの大声で通行人の何人かが振り返っている。
「で?何やってんだ?」
再度問いかけると、ナルトはムフフと気味の悪い笑いを見せた。
「聞きたいってば?聞きたい?」
「…いや、やっぱいーわ」
「あのねっ!」
「オイ」
キレイにきまったツッコミもさらりとスルーされて。
「待ち伏せ!してんだってばよ!」
「待ち伏せ?」
誰を、なんて野暮なことは聞かないでおこう。
どうせアイツに決まってる。
「最近任務ばっかで会ってないからさ!こっそり待ち伏せてビックリさせるんだってば!」
ニコニコ言ったナルトの台詞に、やっぱり待ち伏せてんのはシカマルだと確信する。
ナルトが頻繁に会っていた人と言えば、恋人であるヤツしかいない。
「んー、シカってばまだかなぁー」
再び木陰に隠れ様子を伺うのを見て、相方のシカマルを思い浮かべる。
(シカマルも相当ナルト馬鹿だからな…)
ナルトのこんな姿を見たら頬が緩みまくりだろう。
つい先日、ニヤニヤしながらナルトのことを話していたのを思い出した。
「………あれ?」
「…ん?」
そうだよ。
思い出したよ。
「どうしたんだってば?キバ」
首を傾げているナルトに、軽くため息を吐いて。
「そういえばな?…シカマル、今日お前んち行くって」
「はぁ!!!???」
キーンと耳鳴りがするほどの大声を寸でのところで防いだ。
「どどどっ、どーゆーことだってばよ!?キバ!」
どもってるどもってる。
「いやー、アイツもおんなじこと言っててな?ナルトんち行って待ち伏せるんだとよ」
「…な」
「……」
「な…な、」
プルプル震えるナルトを見てそっと両耳を塞いだ。
「なんでだってばよぉぉおおぉ!!!!?」
再びの大声は耳を塞いでてもキーンとした。
「こぉしちゃいられねぇってば!!!シぃカぁぁあぁあ!!!!!」
うわぁーんと叫びながら走り出したナルトの声は、姿が見えなくなっても響き渡った。
「はーあ、馬鹿なヤツ」
呆れながらも口元が緩んでしまう。
きっとシカマルも待ちきれなくなってナルトを探しに出ているに違いない。
アイツらと腐れ縁のオレが言うんだから間違いない。
「待ち伏せ失敗、だな」
遠くでナルトの嬉しそうな声が聞こえた気がした。
END.