文(リボーン)
□「片思い」(綱吉編)
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「行ってらっしゃい、あなた。」
玄関まで送りに来た京子は、綱吉にジャケットを着せながら微笑んだ。
「あぁ。今日はハルの所に泊まるから。」
「はい。ハルちゃんによろしく伝えてね。」
何人かいる固定の愛人の中でも、ハルの所は居心地が良かった。
「行って来るよ、京。」
アタッシュケースを持って京子の頬に軽く唇を当てると、綱吉は自宅を後にした。
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「ツナさんは一途ですよね。」
夜も更けて、今日も一日血生臭かった、と強い酒片手にソファに長くなっていると傍らにハルがチーズの盛り合わせを持って腰掛けた。
「そうだよ。ハル、お前だけだ。」
横の女の肩を抱く綱吉の仕草はまるで自然だ。
「違いますよーだ。きょーさん大好きなくせに。」
その手に自分の手を重ねながら、大事な奥さんの事、あんな風に呼んで、とハルが眉を寄せる。
「ツナさんは悪い子です。」
ほう、と綱吉が面白そうに片眉を上げた。
「あんなにいっぱい愛人さんいて」
「気に入ったらすぐまた増やして。」
「選ぶのも必ず何かしら、きょーさん繋がりですもんね。」
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