文(ハガレン)

□死ぬときはその弱点で
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「わぁ!」

エドワードの反撃トラップが炸裂した。

ゴワァン・・・ワン…ワン……ワン………

金タライがアルフォンスの頭上に降って来た。ご丁寧に小麦粉爆弾がセットされている。

「ガーッハッハ!どうだ参ったか。」

エドワードのステキな笑顔が花開く。

・・・しかし、小麦粉製の霧が晴れてもアルが床にうつ伏せたまま動かない。

「アル?」

まさか、と駆け寄り自分より一回り大きい体を抱き上げた。

柔らかな、冷たい体。

瞳を閉じた弟から鼓動が聞こえない。

全身の血が引き抜かれるような、ザァザァと言う音だけが耳に響く。

突然、部屋の隅から金属の硬い音が鳴った。

鎧の巨体が膝を付く。かつてアルフォンスだった、今は空のはずの鎧。

「兄さん。ボク・・・・・・!」

愛しい弟の声が鎧の中から反響する。

「アル!アル!アル!」

弾かれたようにエドワードが鎧に向かって走り出した。

鎧の腕が巻き付く。かたかた、と震える度に鎧と機械鎧が音を立てる馴染みの感覚。

離れるのを怖れたエドがしがみつく様に鎧を引き寄せ、二人でじっと抱き合った。

鎧の震えが大きくなる。





「捕まえたー!!!」



「へ?」



鎧の片腕が頭部を外す。

「じゃんじゃじゃーん。中に入ってましたー。あっちはニセモノ!」

あっち、は動かないアルフォンス。

よく見れば大きなリカちゃん人形程度の単純なニセモノだ。

イタズラが成功した子どもみたいな顔を鎧から出したアルフォンスに、へなへなとエドワードの力が抜ける。

「お前、…。オレがどれだけ心配したと……。」

「あ、あれごめん。反則だった?」

「反則だった。」

すっかり力の抜けきったエドの体を鎧の腕で支える。

「ごめんね、兄さん。」

嬉しくて仕方ない笑顔のアルが、反省の色を全く見せない謝罪をする。

「お詫びにBまでにするからさ。」

「おまえっ・・・!お前のBはBじゃないー!!」






これは案外使える、とアルフォンスは黄金の瞳を煌かした。


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弟、兄の弱点を再確認。

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