文(ハガレン)
□逆転ドラッグ
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生身弟兄セントラルでラブラブ同棲、軍属の研究施設で勤務中。
施設内では微妙にフロア違いで別の研究をしています。
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「兄さん、お茶飲む?」
食後にだらだらと新聞を読んでいたエドワードの目の前ににゅっとティーカップが差し出された。 大変良い香りを立てるハーブティー。
「・・・珍しいな。どういう風の吹き回しだ。」
「失礼な!飲むの、飲まないの?」
「いただくよ。」
ビールでも飲むかのように、ぐっと一息で飲み込む。
適当に砂糖でも放り込んでくれたのか甘みがついていておいしい。
朝は糖分が必要だ。
目の前に座り込んだアルフォンスも同じカップを空けている。
「ふー・・・。さて、兄さん。何か変化は?」
「うむ、うまかった。今のところ何ともないが、また何か薬でも盛ったのか?」
えへー・・・とへらへら笑ったアルフォンスが、透明の液体を入れた試験管を差し出した。
「じゃーん!ボク面白い薬作っちゃいました!」
「そして盛っちゃったのか。」
エドワードはイタズラ好きの弟に苦笑した。
昨夜は仕事から帰った後も部屋に篭って何やらしていると思ったら。
「なんと!魂が剥がれるお薬でーす!」
「はは、その発想どっから来たんだ?」
「違う世界のボクは魂を自由自在に剥がせるって聞いて、面白そうだったから作ってみたの。」
面白そう、のレベルで画期的な薬を作ってしまうあたりがエルリック弟兄の片割れだ。
「言ってる事は分からないが、要するにオレもお前も魂が剥がれ・・・んっ・・・!?」
「あ、始まったみたい・・・あ、ぁ・・・兄さん!」
アルフォンスがエドワードを強く抱きしめて口付ける。
「ぁ、熱い・・・アル・・・!!」
「兄さん・・・っ!」
体から魂を引き剥がされる痛みと虚脱感と共に口から何かが流れ出し、流れ込む。
嵐のようなそれが去って、抱き合ったままぱちりと目を開けた。
どうやら一瞬気を失って倒れたようだ。
目が慣れないのか視界が白くぼやけて見えない。
「おい、起きろアル!」
手探りで傍らの手を掴む。
・・・いつもより一回り小さい。自分の指がいつもより細長い。
「まーさーかー・・・ベタなあの展開じゃないだろうな。」
呟いた自分の低い声で既に先が読めた。
「うーん兄さ・・・あぁっ!ボクが目の前に居る!」
「それ見たことか、入れ替わった。」
頤をしゃくってため息をつき、肩を竦める。