文(ハガレン)

□Ein Prosit
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アルホンス君ー…。」

「え」

起き上がったゾンビがアルフォンスに顔を寄せる。
笑みを刷いた瞳の碧さが強烈に己との違いを意識に上らせた。

「ハイデリヒさん…な、なに…。」

凍りつく背筋。
目前の唇が嫌でも目に入る。

「少しらけ試させて。」

ガシッと頭を固定される。脊椎反射の鳥肌。
次の瞬間・・・

ガッツーーーン!!!!

額に割れんばかりの衝撃。

「いったぁーーー!!!」

「あははははやっぱりまら子供だから骨柔らかいんらあははははははははは」

「なんで良い歳して頭突きするのさ!」

ハイデリヒにげんこつを何発かおみまいする。
ぽかぽか、と音がしそうな子供じみた仕草が愛らしい。

実は普通の人間なら一撃で複雑骨折する打撃だが、ゾンビは不死身なので安心だ。

「らって僕たち、基本的に同じ人間れしょ。歳が違うとどれらけ違うか不思議になってさ〜。」

お前の存在が不思議だ。
というか・・・

ガーン。

そうだ。わかりきっていた。

成長したボクなんだ、これは。
もしかしてボクはあと3年でこうなるのか?
そういえばボクの周りには兄さんとハイデリヒさんしかいない。
見本となるべき大人の男ってこの2択じゃないか!!
(ひきこもりニートがちの生活だから他人と関わりが無い)


2択のうち電波ゾンビ以外の方に目を向ける。

「そこ!ナンパオヤジばっかりでハーレム作るな!!」

しかも無頓着に若干脱がされている。
ちょっと目を離すとすぐこれだ。

何はともあれ全力でエドワードに駆け寄って腕ひしぎをかけ、周囲のオッサンをかぁっ!と威嚇する。

「あーん痛ぁいアルフォンスゥ。」

床にうつ伏せたアバズレは演技する気も無いらしく、ミシミシ音を立てる腕の痛みを無視してまだまだジョッキを放さない。

まーまーカッカすんなよ!とオッサンの一人が特大ジョッキをアルフォンスに差し出した。

もう飲もう。潰れるまで飲んで忘れよう。

その思考の方向性がすでにハイデリヒ寄りであることに気付かず、アルフォンスはジョッキを持ち上げた。


END
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オクトーバーフェスト初日の様子でした。
こんな感じで1ヶ月のフェスト開催期間、皆勤賞で飲んでたそうです。

3人ともグラトニー並みの飲みっぷりが大人気でいつもおごってもらえました。
毎日それぞれがなぜか大金を手にして帰宅。
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