泣ける2ちゃんねる

□仕事の話
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■借金■


俺が18で上京して5年後、不況の影響でクビになった。俺はフラフラとさまよいながら、ついには金欲しさに借金取りと言う最低な仕事に就いてしまった。そんな仕事も馴れ始めカタギに戻れないことを感じ始めた25の時の仕事の話だ。

いつもの用に借金返済期限切れ者リストを眺め、手頃の獲物を見付けては取り立てる為訪問した。

今回のは父親が事業に失敗して蒸発。んで母親がウチの闇金に手を出して来たが返ってこないと言う良く聞くパターンだった。このパターンは相手は直ぐに折れる事が多いとされる。近所中に響き渡るぐらい怒鳴って困らせ、最後に「親族に迷惑かけたくないやろ?」と言ったら大半の奴は折れる。

現場に着き兄貴が玄関で怒鳴る役。んで俺が煽りを入れながらも回りに目を配る役だ。5分が過ぎたが全く現れる気配を見せないので、次に回ろうかと思ったら玄関が開いた。小さな女の子とその子より少し大きい女の子が立っていた。多分姉妹だろう。妹が姉に寄り添って俺らを見ていた。

興味がなさそうに兄貴が煙草を吸い始めたので俺は聞いた。「お前らのかあちゃん、どこにいるんや?」姉の方が答えた「いない。」俺は「飯はどうしてんだ?」と聞いた
姉は黙り込んだ。すると妹が俺の袖を掴み玄関に誘導した。玄関に入ると居間があり茶色の丸テーブルが見える。

妹がテーブルに指差した



指差した物は空になった金魚鉢だった。



俺は一瞬にて悟った。背後では姉が泣いていた。妹は「昨日で食べ終わったの。それ以来食べてないよ。」と言って来た。
俺は半泣きになり兄貴に振り返り「兄貴…」と言いかけた。
兄貴は泣いていた。兄貴は涙を拭うと「少し待っとれや。」と言い残し走って何処かに行った。とりあえず俺は姉妹達を見てた。姉が泣き止まないのに少し胸が痛んだ。俺は実家にいる弟を思い出し咄嗟に頭を撫でた。少し泣き止み俺を見てた。


すると兄貴が戻って来て息を切らしながら食パンとジュースを姉妹達に渡した。姉妹達は無言で食べ始めた。当然姉妹達は風呂に入っていないので「不潔だ。」と兄貴は言い姉妹を車に乗せた。銭湯に着き姉妹は大はしゃぎだった。帰りの車で姉妹は眠っていた。
コンビニに寄り、パンやお菓子等を大量に購入した。俺達は眠っている姉妹を起こさぬ様に家の布団に寝かした。玄関を出たら姉妹達が出て来て、
「お兄ちゃん達ありがとうね。」と言われた。


…馬鹿野郎!俺らがこんな事したから、お前らの母ちゃん苦しめたんじゃねぇか!俺らがお前らの母ちゃん苦しめたから、お前らも苦しい生活をしてるんじゃねぇか!だから
そんな俺らに礼なんかすんじゃねぇよ!そんな事言われたら俺らの方が苦しいじゃねぇか!


俺は車を走らせ姉妹の家から少し離れた所で泣いた。「馬鹿野郎!」と兄貴から喝が飛んで来た。兄貴も泣いていた。


この件があった翌日、俺は借金取りから足を洗った。もちろん兄貴も一緒だ。この件以来俺には2つ良いことが起きた。ひとつは俺がカタギに戻れたこと。

ふたつめは

姉妹達に母親が戻って来た事だ。幸せそうに街中を歩いてた。


姉妹揃って幸せになれよ
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