BASARA小説
□紅
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この頃感じる。
佐助は某じゃなく…片倉殿が好きなのではないのかと…
そして…それに苛立つ自分がいることを。
「佐助ー佐助ー…」
いつも通り何も変わっていないはずだった。
けど…本当は違かった。
俺が気づいていなかっただけなんだ。
『佐助様ならもう出ていきましたよ?』
門の前で佐助を呼んでいると町の人がそう告げた。
「どこに行ったか知らぬか?」
不安だった。
いつもいつも、佐助はよく仕事にでていた。
けどこの頃はそういうものではなかった。
違うんだ…。
『確か…北のほうにお行きになられましたよ』
そう告げると町人はお辞儀をし、歩いていった。
北…か…。
佐助がこの頃帰ってくるときにいつも 某のでも佐助のでもない見知らぬ香の香りがしていた。
多分あれは…
幸村は考えるのを止め、城へ戻った。
「北…か」