BASARA小説
□紅
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北と言ったら出てくる男は二人いた。
伊達政宗と片倉小十郎。
この二人だけだ。
だが…政宗殿はないだろう。
佐助はあいつを嫌っていた。
だとしたら…
やはりあいつしかいないだろう…。
幸村は槍を持ち、奥羽に向かおうとした。そのときだった。
ソロソロと城の中へ入っていく佐助の姿が見えた。
「朝帰りか?佐助」
佐助はビクッと体を縦に揺らしゆっくりと幸村のほうを向いた。
『いやー、今回の仕事大変でさー』
佐助はそう言っていつもみたいに 苦笑した。
嘘…なのだろうな…。
幸村は佐助に近づき胸ぐらを掴み首の辺りの匂いを嗅いだ。
『だ…旦那?!』
佐助は少し抵抗をする、だがほどける訳がない。
やはり…あの香りがする。
いつもと同じ知らない香り。
「佐助…お主どこに行っておった」
『…、えっとー…』
佐助は目を反らし誤魔化そうとする。