CLAP*Nobel


□任侠1
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こんにちは、皆様。
ひょんな事から任侠の跡取りチョン・ユノ様の妻となりましたシム・チャンミンと申します。
え?なんでそんな事になったのか。ですか?まぁ、それはまた後ほど……ですが、一つだけ。
私の正体は「暗殺」です。
ちなみに現在もですが…ユノ様は「いい加減、俺に…俺達に守られてろよ…」と、言います。
そんな事を許してしまったら私は余計に弱くなってしまいます…そのような事…私自身が絶対に許しませんっ!

『チャミナ?何一人でブツブツ言ってんだ?』
「ユノ様」

あぁ…いらっしゃいました。
私を弱くさせている方…ユノ様です。
しかも、ブツブツって…あなたの事を語っているんですよ?この方…意外に天然なんです。
それでよくヤクザの頭が勤まりますよね。

『今日は振り袖か…綺麗だな』
「えぇ…桜の模様がとても」
『いや…お前だ』
「んぅ…」

顎を持たれ、キスされる。
そんな事は日常茶飯事です。
あぁ…なんでこんな格好をしているのか。ですよね?私の…いえ、私達の家には何人もの舎弟がいます。
あと、使用人など…様々です。
嫁いで二年程経った私でさえ全ての方を把握してません。
その中の一人按(アン)さん(同級生でした)と言う方が、着付けが本当に上手で着物やスーツなど大量に仕入れて来るので、自動的に私に着させてくれます。
まぁ…女性が按さんしかいらっしゃらないので、私が半強制的に着ています。
ユノ様も毎回喜んで…下さってますよ…はい。
異様な盛り上がりようですけども…

『按もいい仕事すんな〜』
「そう、です…ね」

男が女性物を着て男に喜ばれるだなんて…随分、滑稽ですね。

「ユノ様…私がいつからこんな格好をしたのか覚えてますか?」
『あん?』
「結婚する前はちゃんと、男性の姿でしたでしょう?髪も短かったですし…」
『あぁ。そうだったな…確かー、最初は…按の私服だったな。』
「えぇ…」

あぁ…良かった…覚えていて下さっていた。
そう…初めは按さんの私服でした。
私は成人男性より少し体が細かったので、簡単に入りましたよ…女性もの。
そして、その現場をユノ様に見られてしまったんです。
今でもこの赤く色付いた両目に焼き付いてます。
その時の光景が…

『っ!?何してんだ!?チャミナ!その格好…』
「ユノ様っ!」
『似合いますでしょう?どうですか?ユノ様…』

按さんの言葉に、ポカーンと口を開けたまま、全く動かないユノ様。
「厭きられた」と思った瞬間、ユノ様が体を震わせて叫びました。

『似合う!按!よくやった!』
「えぇ!?宜しいんですか!?こんな格好で…」
『すっげー!似合う!!按これからも宜しくなっ』
『はい』

そう言い、お二人で微笑み合っていたのを、良く覚えています。
そして安堵のあまり腰が抜け、その場に座り込んでしまった覚えもあります。
あぁ…恥ずかしい。
按さんもそれからと言うもの、毎日ノリノリで私に沢山の着物を着させて下さってます。
なので、私の着付係は按さんです。
勿論の事、結婚式は大変な事になりました…
ユノ様はウェディングドレス。
按さんは白無垢。
数時間に渡って言い合いをしていました。
ユノ様に刃向かえるのは、私以外には按さんしかいらっしゃらないと思います。

『昔は可愛かったが…今は凄く艶やかになったな…チャミナ』
「そうですか?(艶やか?)」
『あぁ』

私の長い髪の毛を、その長い指で梳きながら子犬のように微笑むあなた。
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