深紅の瞳
□深紅の瞳 プロローグ
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『やだぁっ!ユウのこと連れてかないでっ!!
お願いおじさん!』
「・・・ごめんね・・・。
私達が行くところに、お嬢ちゃんは連れて行けないんだ。」
『やだ!行かないでユウ!』
「じゃあ、ユーくん。
私はあっちに行ってるね、話がついたら来なさい」
『ねぇ・・・何か言ってよユウ・・・ッ!』
「俺は・・・、」
『・・・っ・・・?』
「てめぇなんざ、大っ嫌いだったんだ。
だからあの人について行く。」
『・・・ッ嘘でしょ・・・?
ユウ・・・、嘘って言って・・・!』
「・・・・・」
『何で黙ってるのユウっ・・・、
ちゃんとこっち見てよっ・・・!』
そう言って、
少女が少年に触れようとすると、
その手は渇いた音を立てて弾かれた。
「うるせぇな。」
『っ・・・ユウ・・・?』
そう言って合ったユウの瞳は、
驚くほど冷たかった。
『・・・・っ・・・・』
「もう・・・・・、疲れた。」
そう言われ少年に触れようとした少女の手は、宙を舞い、力なく垂れ下がった。
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